2024年3月8日号2面 金融機関 岐路に立つ地方債運用、金利上昇見据え「売り手」に
金融機関の地方債運用が岐路に立っている。日本銀行のマイナス金利政策解除が現実味を増し、金利上昇(債券価格の下落)に備えて評価損を抱える債券を売る動きが目立つ。都市銀行は2023年(通年)で1兆円超の売り越しとなり、「買い手」だった地域銀行でも2カ月連続で売り越す場面がみられた。異例の超低金利下で保有資産として存在感が増した地方債の市場動向に神経を尖らす局面が続く。
銀行の地方債残高は、マイナス金利導入前(15年末)から2.2倍の27兆4千億円(23年12月末)に膨らんだ。特に地域金融機関での運用・保有ニーズが強く…
2024年3月8日号3面 3メガG、サイバー攻撃リスク検証、米決済機能の麻痺想定
3メガバンクグループ(G)は2024年度、サイバー攻撃のリスク検証を実施する見通しだ。米国で決済機能が麻痺(まひ)して経済・社会全体に悪影響が及ぶことを想定し、自社が直接攻撃を受けなくても波及しうるシナリオを適用。一部メガGは経営の健全性を確かめるストレステストでの活用を計画している。
中小規模の銀行にサイバー攻撃が相次ぎ、預金流出などが起きた際、米GDP(国内総生産)成長率は最大2.9%下ぶれ…
2024年3月8日号4面 銀行界、GHG開示支援を本格化、中小へサステナ対応促す
銀行界で2024年度、中堅・中小企業向けに温室効果ガス(GHG)排出量の「見える化」支援が本格化する。国際的には23年6月策定の「IFRSサステナビリティ開示基準」で、企業は自社だけでなくサプライチェーンのGHG排出量まで情報開示が求められた。国内でも25年3月までに基準が公表予定だが、「国際基準に沿う可能性が高い」(メガバンク)。中小企業は取引先から開示を迫られる見通しで、銀行界を挙げた支援が不可欠になる。
鈴木俊一金融担当大臣は2月19日の金融審議会で、…
2024年3月8日号6面 信金、デザイン力で開発支援、ブランド構築し販路拡大
信用金庫で、企業のブランド構築を見据えて取引先の新商品開発を支援する重要性が高まっている。中小企業が積み上げた歴史や技術をPRして独自性を出すことが、販路拡大につながるためだ。先行する東京東信用金庫(東京都)は、デザインの力で企業価値向上を目指す「デザイン経営」の視点から取引先をサポートする取り組みを展開する。
近年は人口減少を背景に、消費者が各人の嗜好(しこう)に基づいてモノ・サービスを選択する傾向が顕著。そのため、…
【写真】東京東信金取引先にレクチャーする金谷社長(右、2月28日、東京都)
2024年3月8日号7面 京都信金、飲食・宿泊業向け「ふる納」セミナー
【大阪】京都信用金庫(京都市、榊田隆之理事長)は2月26日、共創施設QUESTIONで「飲食業・宿泊業向けビジネスに活かせるふるさと納税セミナー」を開催。リアルとオンライン合わせて53人が参加した。ふるさと納税の返礼品に出品して売り上げアップを図る内容。京都市行財政局ふるさと納税担当課長の二宮啓之課長と伊藤圭之同係長が講師を務めた。
二宮課長は「京都市へのふるさと納税は、高額納税者が多く、旅行や飲食に返礼品を利用する傾向にある」と、…
【写真】参加者に説明する二宮課長(左)と伊藤係長(2月26日、QUESTION)
2024年3月8日号16面 2025年卒採用広報が解禁、地銀は学生早期確保へ動く
インターンで囲い込みも
2025年卒の大学3年生らを対象にした採用広報が3月1日、解禁された。今回から政府による採用活動ルールの改定で、インターンシップを通じた選考が弾力化。売り手市場のなか、地域銀行界でも例年以上の早期採用が目立っている。インターンの参加者を対象に優先的に選考案内し、広報解禁日前に内々定を通知した先も出ている。
「就活生はどこに集まっているのか」――。東海地区の地方銀行採用担当者がこう語るのは、…
2024年3月8日号17面 銀行界のSNS活用9割超、最多はYouTube、内容や頻度が課題に
銀行界の9割超がSNSを活用し、YouTubeの利用が89行と最も多いことが本紙調査で判明した。情報を多く盛り込める動画の特性や、編集ソフトを使うことで手軽に作成できることが要因の一つ。LINEやX(旧ツイッター)など複数のSNSを組み合わせて、情報発信する姿も浮き彫りになった。SNSは参入ハードルが低い一方、競合が多い。発信内容の質と更新頻度が求められている。
調査対象は、都市銀行・信託銀行が9行、地方銀行が62行、第二地方銀行が37行の計108行。SNSはYouTube、LINE、X、フェイスブック、インスタグラム、TikTokを想定。各行のホームページなどをもとに…
2024年3月8日号18面 十六銀行楠町支店、グループの機能生かす、取引先役員会にも参加
事業性貸出6億2000万円増
【名古屋】十六銀行楠町支店(河合直樹支店長=行員7人うち渉外3人。パート2人)は、小規模店舗ながら十六フィナンシャルグループの傘下会社や本部と連携しながら企業の課題を解決している。ニーズに迅速に対応し、カーボンニュートラルやデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援。十六FGが掲げる「事業領域の拡大」を実践している。
注力する脱炭素支援の事例では、リサイクル事業を営む朝日金属(名古屋市)に「カーボンニュートラルナビゲーター」を提案。河合直樹支店長は本部のソリューション営業部と…
【写真】朝日金属の桑原康年常務(右)に脱炭素の提案を行う河合直樹支店長(2月28日、朝日金属)