2024年6月14日号2面 企業価値担保権を創設、新興企業の資金調達容易に
事業性融資推進法成立で
無形資産を含めた事業全体を担保にする「企業価値担保権」の創設を盛り込んだ事業性融資推進法が、6月7日に通常国会で成立した。有形資産を持たない新興企業や、経営者保証が負担で事業承継をためらう事業者などが融資を受けやすくなる。担保権の設定には信託契約を活用し、新たな「信託業」の免許も創設する。
事業性融資の専門的知見を持ち、事業者や金融機関に助言・指導する支援機関の認定制度も導入する。公布日から2年半以内に施行する。
国内の融資実務では…
2024年6月14日号3面 地銀の店舗戦略、削減から機能見直しへ、顧客利便性や職場確保で
地方銀行は、店舗内店舗方式などによって店舗数の削減を進めてきたが、一部銀行で既存店舗の機能を見直す方向に切り替える。顧客利便性や職場確保を重視した。一方、本格的な店舗再編にこれから着手するという銀行もある。地銀の店舗戦略は、他の地域金融機関に影響を与えるだけに動向が注目される。
「これ以上の大幅な削減は難しい」。山陰合同銀行は約4年間で、山陰側店舗の35%に相当する45カ店を削減してきたが…
2024年6月14日号5面 中国銀行、ペーパーレス軸に営業改革 後続事務を見直し
アプリ受け付け自動化へ
【広島】中国銀行が2年前に導入した「TSUBASA汎用(はんよう)ペーパーレスシステム」が効率化と営業改革の両面で効果を発揮している。店頭タブレットに入力した情報を勘定系システムに反映させる後続事務をペーパーレス化。アプリなど非対面で受け付けた業務も2024年度中に順次対応する。事務処理の自動化と集中化が進み、次世代店舗の検討も本格化している。
システムはTSUBASAアライアンスで連携する千葉銀行、日本IBMと共同開発した。タブレットで受け付けた業務データを…
2024年6月14日号6面 信金、貸出強化へエリア拡大、法人向け増やし収益確保
信用金庫で、法人向け融資の増加に向けて、店舗空白地に営業エリアを拡大する動きが広がっている。地元経済の縮小が進むなか、近隣の都市部や事業者が集まる地域に新拠点を設けて、収益力の向上につなげている。実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資の返済が進み、貸出金残高が伸び悩むなか、ボリューム拡大策の一つとして取り組みが活発化する可能性がある。
個人客の獲得を想定しない法人特化型の支店や事務所は、2階以上のテナントに入居する「空中店舗」として出店するケースが多い。金利競争ではなく…
2024年6月14日号16面 銀行・信金、新卒の選考方法見直し、母集団形成へES簡素化
銀行・信用金庫で、2025年度の新卒採用で選考方法などを見直す動きが相次いでいる。売り手市場のなか、母集団形成を目指しエントリーシート(ES)の簡素化や、試験の一環として導入していたグループディスカッションや小論文テストを廃止。インターン参加者向けの選考フローを簡略化する先も増えている。
ニッキンが銀行・グループ、大手信用金庫(預金量上位50)に調査し、155機関から回答を得た。2025年度採用の見直し項目として…
2024年6月14日号15面 農林中央金庫、「兆円増資」の実相、届かぬ利回り巨頭の苦悩
1兆円超の資本増強に踏み切る意向を示した農林中央金庫。農業協同組合(JA)など預金・出資者に対する、国内金利の実情に見合わない高利回りの還元姿勢は金利・為替リスク軽視の外債運用に向かわせ、世界的な金利上昇局面で含み損が急膨張する事態に至った。半面、50兆円の運用資産を有するマーケットの巨頭が陥ったポートフォリオの偏りは、10年超に及んだ大規模金融緩和の歪みを映す。
5月22日に開かれた2024年3月期決算会見。冒頭、奥和登理事長は増資を含む1兆2千億円の「資本再構築」を協議していることを明らかにした。欧米の金利上昇(債券価格下落)を受けて…
【写真】「資本再構築」について説明する奥和登理事長(左、5月22日、東京都内)
2024年6月14日号17面 広島みどり信金、町の書店復活を支援、物件探し伴走・商品陳列も
【広島】広島みどり信用金庫(広島県、小林明宗理事長)は、庄原市中心部で唯一の書店「ほなび」の出店を後押しした。地域のにぎわいづくりに不可欠な書店を復活させたいと誘致から物件探し、商品陳列、経営サポートなど伴走支援を徹底。5月10日のオープン以降、大勢の来店客でにぎわっている。
本店を置く庄原市は2005年に1市6町が新設合併して誕生した。2023年、市中心部にあった二つの書店が相次ぎ閉店。書店空白地になった。近隣には小学校や高校など教育機関も多く…
【写真】絵本コーナーについて語り合う(左から)総商さとうの佐藤友則社長と本庄将之・専務取締役、森田修之・東城支店長(5月20日、庄原市)
2024年6月14日号18面 三井住友信託銀行日本橋営業部、人生設計支援で取引深耕
地域活性化両立し表彰へ
三井住友信託銀行日本橋営業部(橋本憲明部長・フェロー役員=行員144人うち営業担当者70人)は、顧客の人生設計を支援するライフプランコンサルティングに注力し、既存の個人顧客との新たな取引を掘り起こしている。業務と並行して全部員が歴史ある建物を活用した日本橋エリアの活性化に関与し、地域貢献も両立しながら2023年度の準総合表彰を獲得した。
同部が居を構えるのは1929年開館の重要文化財「三井本館」。旧三井信託銀行本店という歴史の重みは他店にはない特徴。主な顧客は近隣企業の役員や…
【写真】重要文化財の「三井本館」地下金庫室で見学コースなどの打ち合わせを行う担当者ら(5月24日)。右下は同館外観