2024年5月24日号2面 日銀、過去25年の金融緩和、円高是正も副作用「円安」、企業に“功罪”調査
日本銀行は5月20日、過去25年間の金融緩和策や経済・物価情勢に対する実感を聞き取る企業向けアンケートの結果を明らかにした。1990年代半ば以降の政策効果・副作用を検証する「多角的レビュー」の一環。企業経営者が抱く非伝統的金融政策の功罪や、賃金・価格設定行動に及ぼした影響が浮き彫りとなった。
アンケートは、大手から中小・零細の約2500社に対し、2023年11月から24年2月に実施(回答率は90%)。その半数超は、日銀本支店・事務所職員が調査企業に出向き、経営幹部らの面談を通じてヒアリングした。
長く続いた金融緩和がもたらした自社事業への影響について…
2024年5月24日号3面 銀行界、外債運用姿勢に業態差、大手は「利下げ」享受
銀行界で外債運用姿勢の業態差が鮮明になっている。大手行は、海外金利の上昇局面で圧縮してきたポジションを復元する動きが強まる。債券価格が本格的に上がる「利下げ」フェーズでの収益最大化を意識する。一方、地域銀行では保有残高の抑制基調が続く。運用部門の人員制約なども底流にあり、金融政策や金利動向次第では有価証券運用の収益格差が広がりそうだ。
メガバンクなどでは先々の金利低下(債券価格上昇)を見据え、外債残高を再び積み増す先が目立つ。日本銀行の統計では…
2024年5月24日号7面 信金、ATM×AIで特殊詐欺防止、西尾信金・福島信金など試行導入
信用金庫で、特殊詐欺防止へ新たなツールの導入が広がりそうだ。利用者が携帯電話を使うしぐさなどをATM内蔵のカメラと人工知能(AI)で検知し、職員に知らせたり、取引を中止したりする。4月に西尾信用金庫が全国で初めて導入、5月には福島信用金庫も導入した。開発した日立チャネルソリューションズには、全国の信金から問い合わせが増えているという。
高齢者らを電話でATMに誘導し、指定口座に不正に送金させる特殊詐欺被害が後を絶たない。高齢客が多い信金では…
【写真】AI画像検知付ATMを試行する西尾信金職員(5月8日)
2024年5月24日号10面 【実像】試される賃上げ好循環、労使で成長ストーリー共創へ
金融界は2024年春闘で2年連続の「満額ラッシュ」が実現した。メガバンクや大手地方銀行では、基本給を底上げするベースアップ3%以上に踏み切るなど、歴史的な高水準となった。社員の給与抑制など経費削減を通じて収益を追求する「コストカット型」から脱却し、賃上げを続けながら企業も成長する「好循環」の兆しも見えてきた。2025年以降、この流れを持続できるかが問われる。
■“果実”を分かち合う
「2024年春闘は事前の意見調整なしでベア要求を前提として執行部で議論できた」――。大手行の労組幹部はそう振り返る。2023年度から物価高の局面に突入し…
【写真】生保労連は加盟単組の賃金交渉結果をホワイトボードに記入している(3月26日)
2024年5月24日号12面 フィンテック界、外為業務で台頭、顧客紹介へ提携活発化
フィンテック業界が、銀行の外国為替業務で台頭してきた。ネット専業銀行などにサービス機能を提供するホワイトラベルや、地域銀行との顧客紹介に向けた業務提携が活発化。利用が拡大する電子商取引(EC)に加え、コロナ禍後の商流回復で高まる需要獲得に向けて、送金の取引金額を増やせる免許を取得するなど、法人向けにも対応したサービス拡張を進める。
クイーンビーキャピタル(東京都)は、銀行口座に加えコード決済などで用いる「デジタルウォレット」にも送金できるのが特徴だ。ペイペイ銀行や…
2024年5月24日号15面 朝日信金、「しんきん館」が盛況、名産品販売で地域PR
朝日信用金庫(東京都、伊藤康博理事長)の地域貢献施設「上野しんきん館」が盛況だ。自社ビルをリノベーションし、期間限定で全国の自治体などに無償で貸し出す取り組み。2月1日のオープン以来、名産品の売り上げ拡大や地域のPRにつながっている。
しんきん館は創立100周年事業の一環として開設した。出店者は、信金中央金庫やしんきん地域創生ネットワーク…
【写真】4月から北海道の特産品を販売している(5月14日、上野しんきん館)
2024年5月24日号17面 みずほFG、広がる障がい者雇用、役職登用で定着する職場へ
「徐々にできることが増えるとやりがいにつながる」――。こう話すのは、みずほフィナンシャルグループ(FG)の特例子会社「みずほビジネス・チャレンジド」で人材育成を務める亀竹哲也さん。自身も障がいがあるが、ジュニアリーダーに抜擢(ばってき)され、申込書類のデータ入力を担うチームで17人をまとめる。コミュニケーション面での不安から当初2人しか電話対応ができなかったチームだが、亀竹哲也さんを中心にメンバー間で模擬練習を繰り返し、今では10人が対応できるようになった。
東京・町田市に本社を置く同社は、障がい者の雇用を促進するために1998年に設立。今では都内に五つある拠点で障がいがある社員371人が働く。
同社の特徴は、雇用した障がい者の…
【写真】チームのメンバーと会話する亀竹哲也さん(右、5月1日、みずほビジネス・チャレンジド町田本社)
2024年5月24日号18面 清水銀行袖師支店、ソリューション営業が奏功、貸出金残高・5億円増
【静岡】清水銀行袖師支店(杉山裕一支店長=行員18人うち渉外4人。パート6人)は、詳細な情報収集・分析による提案型営業で成果をあげている。分析結果を基に企業の課題解決に向けたソリューション営業を展開。手数料獲得や法人融資に結び付けている。貸出金残高は1年間で約5億円増の168億3800万円(2024年3月末)。2023年度全店業績表彰で優績店となった。
袖師支店の営業エリアはJR清水駅から東名清水ICを中心に約10キロ四方と広い。アクセスが良く、物流・製造業が集積する。
杉山裕一支店長は2022年4月に着任。同行パーパス「地域を愛し…
【写真】取引の状況を確認する杉山裕一支店長(左から5人目、4月23日、清水銀行袖師支店会議室)