2023年7月7日号4面 地域銀行、BaaS本格化へ NTTデータの共通基盤活用
京都銀行など40行が関心
地域銀行が、BaaS(サービスとしての銀行)事業を本格化させる。十六銀行は8月、岐阜県恵那市のスマートフォンアプリを活用したデジタル地域振興券に提供し、エンベデッドファイナンス(組み込み型金融)に乗り出す。活用するNTTデータの共通基盤には、京都銀行など40行程度が関心を示しており、地元のデジタルトランスフォーメーション(DX)支援に活用を想定するケースが多い。
十六銀は住民が地域振興券を購入する際、預金口座から直接引き落とせるようにする。紙・現金レスで購入から決済まで完結できる。恵那市政策の参加店は…
【写真】BaaS基板から生まれるサービスの全体像(NTTデータ資料より作成)
2023年7月7日号5面 メガバンク、成長産業「宇宙」に期待、ファイナンスで新たな試み
政府が宇宙航空研究開発機構(JAXA)による民間事業への投資を可能とする法改正に乗り出すなど、宇宙ビジネスが動き出している。宇宙産業の世界市場は2040年に現在の3倍の120兆円規模に達するといわれ、注目される成長分野だ。メガバンクも将来性を見越して情報収集や体制を強化するほか、ファイナンスでは新株予約権(ワラント)付きシンジケートローンやエクイティ出資など新たな試みで成長を後押しする。
■リターンに焦点
「足元のリスクを将来のリターンに」。三井住友銀行が宇宙事業を始めスタートアップ向けの画期的な商品として…
【写真】日本初の民間ロケット発射場のスペースポート紀伊(和歌山県、スペースワン社提供)
2023年7月7日号6面 群馬銀行、収益性高い融資に注力、ROE2%引き上げへ
群馬銀行は自己資本比率を維持しつつ自己資本利益率(ROE)を7~8%に引き上げるため、リスクアセット対比収益率(RORA)が高い融資に注力する。「本部貸出のクロスボーダー・ローン(XB)とストラクチャード・ファイナンス(SF)の残高を2023年度から5年間で計5千億円程度に増やす」(財務担当の内堀剛夫常務)ほか、休日営業拠点は住宅ローンに傾注。営業店も残高増強や非金利業務利益の拡大などでRORAの改善に取り組む。
RORAは19年度に採用した。23年度から5年間は連結総自己資本比率(23年3月期13.82%)を13.5%程度に保ち、…
2023年7月7日号8面 信金中金、取引先の販路開拓支援、展示会準備や現地対応で
信金中央金庫は、信用金庫の取引先に対する海外販路開拓支援を強化する。今夏にも、国外での展示会・商談会における事前準備や現地対応などを一貫して支援する「フルサポート」を開始する方針。現在、各信金と意見交換しながら具体的なサポートメニューをブラッシュアップしている。
4月にはパイロットとして福井信用金庫と連携し、取引先の一般社団法人「福井県眼鏡協会」に所属する4社をサポート。「めがねのまち さばえ」として有名な福井県鯖江市内の事業者が、…
【写真】シンガポールで開催された展示会出展をサポートした(信金中金提供)
2023年7月7日号9面 全信中協・全信組連が総会、北村新体制が始動、“現場の声”一層重視
全国信用組合中央協会と全国信用協同組合連合会は6月29日、それぞれ総会を開いた。全信組連は、トップの内藤純一氏を含め常勤役員の7人中5人が交代。新理事長の北村信氏のもと、系統中央金融機関として「現場の声」を重視した運営を進める。
トップ交代の背景には「内藤氏と現場(各信組)の目線の違い」(関係筋)を理由に、体制刷新を望む業界内の声があったもよう。内藤氏の12年間にわたる理事長在任中、「改選期前は財務省が(内藤氏のもとへ)来ていた」(関係者)との証言もあり、…
2023年7月7日号18面 スマホ証券、収益化描けず撤退相次ぐ、「残高フィー」で新規参入も
スマートフォン専業証券の撤退が相次いでいる。SBIネオモバイル証券に次ぎ、LINE証券は2024年中に証券口座を野村証券に移管することを決めた。資産形成層を中心に新規口座の獲得に成功した一方、開業当初から懸念されていた収益化への道筋が描けなかった。
LINEは野村ホールディングス(HD)と協業し、19年8月にLINE証券を開業。総口座数は150万口座(22年9月末時点)を突破したが、マーケティングやシステム関連のコストが膨らみ…
2023年7月7日号20面 地域銀行・大手信金、「総力戦」で採用活動、支店長が面接官
地域銀行や大手信用金庫が、人事部門以外の役職員も採用活動に動員する「総力戦」を展開する動きが出ている。多摩信用金庫や大阪厚生信用金庫は、2024年度の新卒採用活動の面接官に人事部以外の職員を加えた。七十七銀行や静岡銀行は今夏以降に開くインターンシップで各回10人以上の行員が参加し、仕事の魅力を伝える。多様なキャリアを歩む行員との関わりで、入行後のイメージが湧きやすくする狙いがある。
多摩信金は、学生の評価に多様な視点を取り入れるため、人財サポート部以外の本部職員10人を…
2023年7月7日号17面 特集 金融界の2023年株主総会、問われるガバナンス
PBR1倍割れ解消へ対話
金融界の2023年3月期の定時株主総会では、アクティビストを含む株主からガバナンスを問う声が数多く寄せられた。上場金融機関の大半は解散価値を下回る「株価純資産倍率(PBR)1倍割れ」の水準にあり、企業価値を向上させる改善への道筋を示すことが求められた。地域銀行では仕組み債販売が問題視され、顧客本位の業務運営に関する質問も目立った。
■険しい株価向上
東京証券取引所が3月末に株価や資本コストを意識した経営に関する改善策を要請したが…
2023年7月7日号22面 西日本シティ銀行西新町連合店、SDGs推進支援、新事業の発想を後押し
強み生かす気づき提供
【福岡】西日本シティ銀行西新町連合店(西新町支店・藤崎支店・唐人町支店。古屋雄一郎統括支店長兼福岡西ブロック長=行員33人うち渉外14人、スタッフ13人)は、本部と連携し取引先のSDGs(持続可能な開発目標)推進を支援している。事業アイデア発想の創出を後押しするオリジナルメニューの提供や、ポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)を活用する。
古屋雄一郎支店長の基本方針は、「取引先の潜在的な強みや課題を顕在化し…
【写真】最終報告会当日にベガの富塚加奈子代表取締役社長から新事業について相談を受ける古屋雄一郎支店長(左、6月8日、ベガ本社)