2023年4月7日号2面 実像 物価の番人 「難路」横たわる襷リレー(上)異例の金融政策 丸10年
アベノミクス「第1の矢」の“顔”として、異次元緩和を長期に渡って推し進めた黒田東彦・日本銀行総裁が4月8日に退任する。政府とのアコード(共同声明)に基づき「2%物価安定目標」を掲げ、中央銀行の大胆な行動によって国民の期待を短期間に膨らませて経済の好循環を生み出す戦略は、10年を経ても意図した的に刺さらない。一方、金融機関の有価証券ポートフォリオの弱体化や、市場機能の著しい低下といった先々の政策運営を縛る深刻な副作用が次走者の肩に重くのしかかる。
■経済「潮流」変えられず
「特定の指標を持ち出し、経済の実力からかけ離れた水準の達成を国民に約束することは到底、考えられないものだった」。元日銀幹部は…
【写真】黒田総裁は最後の定例会見で、異次元緩和について「成功だった」と振り返った(3月10日、日銀本店)
2023年4月7日号3面 インタビュー 加藤・全銀協新会長、持続的成長支える活動展開
「堅い・まじめ」の殻を破ろう
全国銀行協会の会長に4月1日、みずほ銀行の加藤勝彦頭取(57)が就任した。欧米の利上げや世界的なインフレ、米国の地方銀行の破たんをきっかけとする金融不安など外部環境が急変しており、銀行界は日本の社会・経済が持続的に成長するための役割発揮が求められる。加藤会長に今後の方針などを聞いた。
■新NISAは転換点
――2023年度に力を入れたい点は。
「人口構造の変化、サステナブル意識の広がりやデジタル技術の進展により…
2023年4月7日号5面 三菱UFJ銀行、分散型IDで融資機会拡大、DNPと実証実験
三菱UFJ銀行は、自身で個人のアイデンティティーを管理する「分散型ID」を活用して融資機会の拡大につなげる方針。個人ではキャリアの見える化、法人では非財務情報の充実などが期待でき、新たな信用力の評価が可能になるからだ。その前段として3月29日、大日本印刷(DNP)と分散型IDに関する基本合意書を締結。4月以降、順次実証実験を進める。
近年、人的資本経営への関心が高まり、個人の価値観の多様化や人材流動化が進展。個人のスキルやパーソナリティーの可視化と共通言語化に役立つ分散型IDが注目されている。同行は、…
2023年4月7日号7面 地銀で中計始動が相次ぐ、グループ総合力発揮、人材投資に積極姿勢
地方銀行で中期経営計画が相次ぎ始動した。グループの総合力を発揮し、持続可能なビジネスモデルの構築を目指す。人材への投資を積極化する姿勢も強まった。
■京都銀行、資本金使い収益高める
【大阪】京都銀行は、新・第1次中期経営計画「New Stage2023」(~26年3月)をスタートした。広域型地方銀行としての経営基盤と、機能・サービスの高度化を基に、…
2023年4月7日号8面 浜松いわた信金、国際感覚持った人材育成、シリコンバレー人脈生かす
【静岡】浜松いわた信用金庫(浜松市、高柳裕久理事長)は、地域課題の解決に向けて米国シリコンバレーの知見・人脈を生かした人材育成を本格化させている。8月13~19日に、取引先と若手営業店職員を対象に、現地を視察して先端技術を学ぶプログラムを実施する。3月6日には庫内向けに、スタンフォード大学教授を講師に招いたハイブリッド型セミナーを開催した。
同信金は、これまで3人をスタンフォード大学に駐在職員として派遣。現地で築いた大学関係者やベンチャーキャピタル(VC)との結びつきを生かし、…
【写真】講演するダッシャー氏(3月6日、本店、浜松いわた信金提供)
2023年4月7日号18面 銀行界、「30代支店長」登用加速、みずほ銀行・三菱UFJ銀行は倍増
銀行界では、30代の行員を支店長に登用する動きが加速している。みずほ銀行は4月1日付の人事異動で、6人を抜擢し、11人となった。三菱UFJ銀行も3月時点で、約2年前の2倍に相当する26人に増えた。支店長ポストの公募制や年齢に捉われない人材配置で、若手の挑戦意欲を高めていきたい考え。
「脱・年功」登用はメガバンクが先行する。三井住友銀行は4月3日時点で、リテール店の30代支店長が58人に。三菱UFJ銀はポストの業務理解を深めるため、…
2023年4月7日号13面 レブコム、電話セールス高度化、可視化し顧客体験を向上
メガバンク・ゆうちょ銀行導入
通話解析サービスのレブコムは、金融機関による電話セールスの高度化を支援している。人工知能(AI)を使って通話内容を可視化し、交渉履歴を顧客情報管理(CRM)システムに保存、顧客体験向上につなげる。メガバンクやゆうちょ銀行、大手証券会社が既に導入。一部の地方銀行で試行を始めており、今後広がる可能性がある。
新型コロナウイルス禍をきっかけに、分散体制でもコールセンターを機能させることが課題になっている。また、電話応対は通常、通話を終えると会話内容をCRMなどに記録を行うため…
2023年4月7日号19面 政府、「闇バイト」から口座守れ、不正利用や売買を撲滅へ
SNSで実行犯を募集する手口で強盗や特殊詐欺を働く「闇バイト」の撲滅へ、政府が大規模な対策に乗り出している。計画には、預貯金口座の不正な利用や売買の防止も盛り込まれており、金融機関は犯罪対策のさらなる強化を迫られる。本人確認や外国人の在留期限管理の徹底を求められるほか、自宅に保管する現金を狙う事件を防ぐため、高齢者などに対する預け入れの重要性周知も必要になる。
1月以降、闇バイトによる50件以上の事件が全国で明らかになり、60人以上が検挙された。詐欺にとどまらず凶悪な強盗殺人事件も発生し…
2023年4月7日号20面 三菱UFJ銀行四日市支店、ウェルスマネジメントビジネス
「決断の場に立ち会う」関係を、2年で実績3倍超に拡大
【名古屋】三菱UFJ銀行四日市支店(宮坂直木支店長=行員80人うち渉外担当31人。契約社員21人)は、法人・リテール部門の成長戦略と位置付ける富裕層向け取引で業績を牽引(けんいん)している。取引先との信頼関係を基盤とした提案で、事業承継対策や遺言信託といったウェルスマネジメントビジネスを展開。「お客さまの決断の場に立ち会う」を合言葉に、顧客支援を積極展開する。
営業エリアは広く、三重県四日市市のほか桑名・松阪・伊賀市など同県の3分の2をカバーする。県内は業種が多岐にわたり…
【写真】一体感を醸成するため、毎週月曜日の朝礼にはできる限り全員が参加している(3月9日、三菱UFJ銀行四日市支店)