2023年12月8日号2面 金融庁、日銀の政策変更受け対話、リスク管理高度化促す
金融庁は、日本銀行の金融政策見直しを踏まえて地域銀行に有価証券運用のリスク管理高度化を促している。イールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)の柔軟化を受け、長期金利が地域銀の内部で設定した金利見通しの上限に迫った事例や、アラームが鳴る水準まで運用評価損益が動いたケースが見られたため。市場が急激に変動した際に機動的に運用方針を見直せるよう、態勢の確認を求める。
11月に幹部が頭取らとの意見交換の場で注意喚起した。同庁は金利上昇が経営に与える影響や市場動向の予測についてヒアリングを進めており…
2023年12月8日号3面3メガバンクG、政策保有株の「岩盤」軟化、4~9月・1000億円超売却
メガバンクグループ(G)は、政策保有株式の売却交渉が難航しやすい「岩盤」が足元で軟化し始めた。2023年4~9月期は3社合計で前年同期比3.4%増の1096億円(取得原価ベース)を売却。株式を持ち合う取引先企業はアクティビストなど株主から持ち合い解消を求められており、協議が進みやすい環境になりつつある。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は550億円(前年同期比3.5%減)削減し、残高が約1兆5千億円になった。21年4月からの累計売却額は…
2023年12月8日号4面 千葉銀行、不正取引のAI検知導入へ、実証実験で判定率90%以上
千葉銀行は、2024年4月にも人工知能(AI)を活用した不正取引の検知システムを導入する。銀行取引の資金の流れや口座の動きなどをAIに学ばせ、不正口座や犯罪被害のリスクなどを検知する仕組み。システム試作前段階の検証では、不正の検知率は90%以上で、あらかじめ定めた基準に照らして判定する従来型の検知に比べ「はるかに高い水準」(コンプライアンス・リスク統括部)だったという。
情報セキュリティー事業・システムインテグレーションサービスの「ラック」(東京都)社のAIモデル製品「AIゼロフラウド」の導入で…
2023年12月8日号6面 しんきん地域ネット、地方の企業を首都圏に、信金と連携し販拡強化
信金中央金庫子会社のしんきん地域創生ネットワークは、全国の信用金庫と連携し、地方の中小事業者に対して首都圏への販路拡大支援を強化する。名産品の購入ニーズが高まる一方で、「進出するきっかけがなく県内の取引にとどまっている中小企業は多い」(地域商社部)。そのため、販売戦略の策定や商談機会の提供などに伴走して取引拡大を後押しする。
同社は、静岡市から「首都圏商談会業務」を受託。2023年6月~24年3月に、…
【写真】「食品展示商談会」には、シラスや茶など名物を使った製品を扱う35社が出展した(11月30日、信金中央金庫京橋別館)
2023年12月8日号7面 碧海信金・名古屋営業部、法人開拓で成果、新規融資225億円実行
【名古屋】碧海信用金庫(愛知県、山内正幸理事長)は、名古屋営業部が中心となり名古屋市の法人開拓で成果をあげている。2017年4月に開設し23年上期までで同部の延べ実績は、新規融資額225億円、ソリューション提案1800件を超えた。課題解決型営業を実践するだけでなく、ノウハウを信金内に還元する拠点となっている。
営業エリアを持つ市内店とは異なり、名古屋営業部の役割は、法人開拓に特化した企画を立案し実践すること。代表例が、…
2023年12月8日号16面 銀行・大手信金、32先が5日間インターン、学生の応募相次ぐ
銀行・大手信用金庫で、30先超が5日間の学生向けインターンシップを実施していることがニッキンの調査で分かった。政府が新卒採用ルールを見直し、2025年卒から長期インターンの情報を選考への活用が容認されたため。銀行が行う多様な顧客支援メニューを理解・体験するプログラムが中心で、学生の志望度を高めたい考え。滋賀銀行や山陰合同銀行、四国銀行などは今夏に導入し、静岡銀行は今冬にも継続開催する。
調査は銀行と大手信金(7月末の預金量上位50)の計154先に実施した。2割超の32先が…
【写真】静岡銀行は8月の長期インターンが好評で、冬季にも開催を決めた(静岡銀行提供)
2023年12月8日号15面 特集 2023年度上期・生保窓販実績、個人年金は過去最多10万件
地域金融機関の2023年度上期「生命保険窓販実績」(回答ベース)がまとまった。一時払い終身保険の販売件数は約19万7千件。2022年度下期と比べて約4万件減少した。通貨別の商品区分では、外貨建てが約8割を占めた。海外金利の高止まりによって、商品の魅力が相対的に高いことが主因だ。一時払い定額個人年金保険は大きく伸びた。販売件数は10万件の大台を突破し、2014年上期の調査開始後で最多となった。調査は地方銀行62行、第二地方銀行37行、預金残高5千億円以上(2023年7月末時点)の信用金庫を対象に実施した。
【終身保険】地域銀行は件数減
一時払い終身保険の販売件数(3業態合計)は、2022年度下期比17%減の19万7004件。地銀は同21%減の…
2023年12月8日号17面 武蔵野銀行、農業プロジェクトから新商品、うどん・せんべい完成
自行で栽培の小麦・米から
武蔵野銀行がさいたま市内で手がける農業プロジェクト(PJ)で収穫された小麦や米を使った「うどん」と「せんべい」が完成し、12月1日、本店で商品を披露した。PJでは、地域農業の6次産業化や課題解決の支援力向上を目指しており、地元農家や事業者、行政や研究機関などと連携で、栽培から加工、販売までのサイクルを創出した。
埼玉県内の製麺会社やせんべい事業者との協働で完成したのは「肉汁うどん」と「おこげせんべい」。肉汁うどんは…
【写真】肉汁うどんを試食する長堀和正頭取(12月1日、武蔵野銀行本店)
2023年12月8日号18面 名古屋銀行碧南支店、3期連続M&A成約、プロセス重視の課題解決
承継問題担う若手育成
【名古屋】名古屋銀行碧南支店(西川幹二支店長=行員16人うち渉外4人。嘱託・パート7人)は、3期連続でM&A(合併・買収)案件の成約に導いた。取引先の課題解決に向けたソリューション業務に取り組むプロセスを重視。その結果、店舗業績評価のほかプロセス評価でも連続で表彰を受けた。若手担い手の人材育成にも寄与し、個人業績では表彰獲得者を毎期輩出している。
同店は県内有数の鋳物産地である碧南市が営業エリア。中小企業が多く、経営者の高齢化が進んでいる地域でもある。西川幹二支店長は前任の…
【写真】M&A支援の担い手育成へ若手渉外に指導する西川幹二支店長(左から3人目、11月30日、名古屋銀行碧南支店)