2023年3月24日号2面 実像 “攻め”に生かすクラウド(上)銀行主体で地域DX実現
7~8割――。銀行がシステムにかけるコストのうち、管理や保守といった“守り”に割いている比率だ。このコストを低減し、新規開発との比率を逆転するため、システム利用側でサーバーといったハードウェアを保有しない、「クラウド」基盤の採用が金融界でも相次ぐ。他方、他システムとの連携のしやすさからDX(デジタルトランスフォーメーション)を進める上で、重要な基盤にも生かす動きが加速している。“雲”の向こうに見える金融像に迫る。
■業務継続に危機感募る
「メインフレームを扱うのは、IBMだけになると思っていた」。かつて、金融機関に勘定系システムを提供するITベンダーの間でささやかれた。メインフレームは1960年代の第一次オンライン化以降、預金・為替・貸出という基幹業務を処理するために利用されてきた。
しかし、比較的安価なオープンサーバーの台頭などを要因に…
【写真】北国FHDはクラウドのメリットを最大限に発揮し、地元企業の生産性向上などに貢献する(同社提供)
2023年3月24日号3面 UBSがクレディ・スイス買収、信用不安・米国から欧州へ
米欧の金融機関を中心に信用不安が世界的に急拡大するなか、金融危機回避へ当局・業界を挙げての“総力戦”の様相が強まっている。3月19日(現地時間)にはスイス金融最大手のUBSが、財務・収益面の脆弱(ぜいじゃく)性を抱え、株価が急落していたクレディ・スイス・グループの買収を発表。また、FRB(米連邦準備制度理事会)や日本銀行など主要6中央銀行は協調で、基軸通貨の「米ドル」供給策を拡充。流動性懸念の解消へ万全を期す構えを示した。
シリコンバレーバンクなど米銀3行の破綻・清算を受け、マーケットの緊張が高まるなか…
2023年3月24日号5面 MUFG、外部と協業し新サービス開発、CVCが40社へ投資
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、外部企業との連携で新サービスの開発を進めている。特にコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)である三菱UFJイノベーション・パートナーズ(MUIP)は、これまでに国内外のスタートアップを中心に約40社へ投資。このうち「4割がなんらかの協業を実現」(鈴木伸武・MUIP社長)した。革新的な技術やビジネスを生み出すスタートアップなどと共創する仕組みから、多くの成果が生まれている。
MUFGのオープンイノベーション活動は、デジタルアクセラレータプログラムや…
2023年3月24日号6面 しずおかFG、不動産担保評価で連携、他行からの委託を積極化
【静岡】しずおかフィナンシャルグループ(FG)は、他行から受託の不動産担保評価業務で存在感を高めている。中心となっているのは、グループ会社の静銀モーゲージサービス(SMS)で、最近は静岡銀行とアライアンスを組む山梨中央銀行からノンリコースローン案件に関連する業務が増加している。
山梨中央銀行と2021年に、担保評価に関わる業務委託契約を締結。受託件数は順調に増加。そのほとんどが…
2023年3月24日号8面 瀬戸信金、EBM活用でローン推進、顧客スコア基にDM発送
【名古屋】瀬戸信用金庫(愛知県、成田順一理事長)は、イベント・ベースド・マーケティング(EBM)を活用したローン推進策を展開している。データ分析などを担うSAS(東京都)やオリエントコーポレーション(オリコ、東京都)から還元を受けた顧客のスコアデータを基に、個人ローン商品のダイレクトメール(DM)を発送。成約率などの分析を通じ、ローン推進強化に向けた取り組みを本格化する。
SASと組んだEBMは、信金中央金庫との試行によるもの。特定の条件でスコア化したデータを受け、…
2023年3月24日号9面 延岡信金、鯛茶漬けの販売支援、ハブ機能発揮し開発も
【鹿児島】延岡信用金庫(宮崎県、黒木哲也理事長)は、しんきん地域創生ネットワーク(地域ネット)と連携し、島野浦地区の特産品開発や販路拡大を支援している。第1弾は郷土料理「鯛茶漬け」の商品化で、既に宮崎空港の売店や複数の「道の駅」で販売を本格的に始めた。都市部に店舗を持つ宮崎県のアンテナショップも4月以降に取り扱う方向で調整に入った。
鯛茶漬けは地元漁業者45世帯で構成する島野浦地区離島漁業再生協議会が水産庁の交付金を活用して…
【写真】鯛茶漬けを商品化し、販路拡大を目指す関係者(左が延岡信金の黒木理事長、右が地域ネットの高田社長、3月13日、延岡市役所)
2023年3月24日号18面 三菱UFJ信託銀行、中途採用200人で新卒超す
コンサル・DXで即戦力獲得
三菱UFJ信託銀行は、2022年度の中途採用者数が約200人となる見込みで、同年4月の新卒採用者数126人を初めて上回る。コンサルティングビジネスの拡大やデジタル領域の高度化に向け、即戦力採用を活発化させているため。紹介型のリファラル採用を導入したほか、1月には転職などを理由に退職したアルムナイ人材の再雇用受け入れも本格化している。23年度も同水準を確保したい考え。
三菱UFJフィナンシャル・グループが18年に実施した機能別再編により、…
2023年3月24日号19面 川崎信金、職員・学生寮が完成、地域課題の解決や就活に寄与
川崎信用金庫(川崎市、堤和也理事長)は3月15日、4月から入寮を始める、小田急線百合ヶ丘駅前の職員・学生寮を公開した。7月に控えた創立100周年事業の一環。近隣大学の長年の課題だった学生寮の確保に寄与する。同信金としては職員との交流を通じて地域のことを学生に知ってもらい、将来的な就職先の候補にしてもらう狙いもある。
小田急沿線は専修大学や明治大学など大学のキャンパスが集中している。一方で単身者向けの賃貸物件が少なく…
【写真】(左)モノトーン基調のビル外観 (右)家具などがそろった寮室(3月15日)
2023年3月24日号20面 福岡銀行博多駅東支店、人材育成、店内プレゼンで提案力強化
情報共有し全員が当事者意識
【福岡】福岡銀行博多駅東支店(福井誠一支店長=行員16人うち渉外6人。嘱託1人。パート11人)は、取引先へ最適なソリューションを提供するため行員のコンサルティング力の向上に取り組んでいる。注力する人材育成では、全ての法人担当者が参加する店内プレゼンテーションを通して提案力を磨く。ここでは取引先の課題を共有し、課題解決への方策を考えて伴走支援する。
同行は取引先と成長戦略を共有し、事業パートナーとして伴走しながら支援する「ゴールベース型営業」を展開。2021年4月に着任した福井誠一支店長は、本部の専担部署や…
【写真】プレゼンで渉外担当者が取引先のビジネスモデルや提案内容などを発表する(3月1日)