2023年8月4日号2面 実像 賃金差が問う「女性登用」、固定観念捨て改革加速
2023年3月期の有価証券報告書で、男女間の賃金格差や女性管理職比率などの非財務情報の開示がスタートした。政府は東京証券取引所のプライム上場企業に対し30年までに女性役員比率3割の達成を求めており、女性登用を一層加速させる必要がある。メガバンクや地方銀行の先行事例や現状の課題、今後の展望を追った。
■女性賃金、男性の半分
女性活躍推進法の改正により、22年7月以降に従業員301人以上の企業を対象に公表が義務づけられた男女間の賃金格差。23年3月期から多くの投資家の目に触れる有報でも開示された。ニッキンが全国銀行104行の開示情報を調査した結果…
【写真】みずほFGの役員メンタリング制度は1回30分が目安だが、23年度の初回面談は話が弾み2時間に及んだペアもあった(同社提供)
2023年8月4日号3面 政府、公企業向け担保規制再考、金融機関の負担減議題に
政府は、水道事業など地方公営企業の収納事務を取り扱う金融機関に担保提供を義務付ける規制の見直しを検討する。一部の地方公共団体で、金融機関から規制を理由に契約を断られるケースが見られるため。地方分権改革の重要議題の一つとして、金融機関の負担軽減を図る。制度を所管する総務省は、まず実態把握や各地公体の意向調査に取り組む方針だ。
内閣府の地方分権改革有識者会議に対し、東京都八王子市が見直しの要望を出した。埼玉県越谷市も…
2023年8月4日号5面 MUFG、グループ5社で対話強化、投資先の企業価値向上へ
専門人材10人を活用
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、グループ5社が一体となって投資先企業とのエンゲージメントを強化し、専門人材を活用してサステナビリティ領域の課題解決を支援する。強硬なアクティビストの影響力が増すなか、質・量ともに対話レベルを高め良好な関係を通じて企業価値向上につなげるためだ。
MUFGが今回、グループ5社(三菱UFJ信託銀行、三菱UFJ国際投信、MU投資顧問、Mitsubishi UFJ Asset Management〔UK〕、三菱UFJオルタナティブインベストメンツ)で統一ブランド「MUFG AM サステナブルインベストメント」を立ち上げ、…
2023年8月4日号7面 福島銀行、マッチング支援が好調、体制整備で成約900件超
【仙台】福島銀行は、リンカーズ社のシステムを活用した取引先のビジネスマッチング(BM)支援に注力している。5月には個人向けの販路開拓にも目を向け、全店の営業店職員各1人をBM推進担当者に任命。2022年度下期は44件だったBMサービス(BMS)への申し込みが、23年度は6月末時点で62件になった。7月からは本部専担者が取引先を効率的に訪問できる体制も構築し、さらなる案件増加を目指していく。
起点となるのは、本業支援を専門とする法人コンサルティング室だ。22年6月に新設し、…
【写真】スピードマッチングに向け密に情報交換する法人コンサルティング室の武田室長(右から2人目)と同室行員(福島銀行提供)
2023年8月4日号8面 信金中金、DX支援を後押し、実地形式の第1弾企画
信金中央金庫は、NTT東日本・西日本との連携施策を通じて、信用金庫による取引先へのデジタルトランスフォーメーション(DX)支援を後押ししている。5月上旬にeラーニングシステムで公開した基礎研修動画は、受講者数が足元で約5千人にまで伸長した。7月24、25日は実地形式の第1弾企画を開催。全国29信用金庫の企画担当や企業支援部署の職員ら31人が参加した。
信金中金は、2022年8月にNTT東日本・西日本と連携し、…
【写真】企業のICTコンサルティングなどを手がけるsmooth(石川県)の長崎慶太氏が主に講師を務めた(7月25日、NTT中央研修センター)
2023年8月4日号10面 東証、「女性役員3割」求める、政府方針受け規則改正
10月をめどに適用
日本取引所グループ(JPX)傘下の東京証券取引所はプライム上場企業に対し、女性役員比率の引き上げを求める。2025年をめどに女性役員1人以上の選任、30年までに比率を30%以上に高めるよう要請する。欧米に比べ低水準にある国内企業に役員の多様性を確保するよう促し、持続的な企業価値向上につなげる。
政府の「女性版骨太の方針2023」を受け、上場規則を見直す。改正案は意見公募し、…
【写真】「女性役員の選任が進む意義は大きい」と話す山道グループCEO(7月28日、東証)
2023年8月4日号15面 Discovery 専門家に聞く X・Y世代が気になる「Z世代のSNS」
Z世代は、一般的に1996~2012年に生まれた人たちを示す。かつてのX世代(1965~1980年)やY世代(1981~1995年)と同様に、若者文化を紹介する際に用いられるキーワードだ。生まれたときからインターネットが身近にあり、デジタルネイティブのはしりとも言われる。SNS(交流サイト)を駆使して情報収集する傾向が、他の世代よりも強いという指摘もある。著書に『あの新入社員はなぜ歓迎会に参加しないのか:Z世代を読み解く』があるニッセイ基礎研究所の廣瀬涼研究員(33)に全体感を聞いた。
――Z世代が注目される理由をどうみていますか。
2020年の米国大統領選挙が一つのきっかけだ。Z世代の米国歌手、…
【写真】ニッセイ基礎研究所生活研究部研究員・廣瀬涼氏
2023年8月4日号17面 鹿児島県内金融機関、新人研修を長期化、「同期との絆強めて」
【鹿児島】2023年度から、鹿児島県内の複数の金融機関が新人研修に集合型を取り入れ、期間を長期化している。研修の強化で新人を早期に戦力として育てるほか、新人同士の“横のつながり”を強固にするのが狙い。同期との関係が薄く職場で孤立した末に退職する若手を減らしたい考え。工夫を凝らした研修内容と、4月に入行・庫した新人の姿を追った。
■ロープレに重点、技術習得
鹿児島銀行は、大卒者を対象に3カ月。2022年度はコロナの影響で2週間ほどだった。前半の1カ月半は研修施設での合宿…
2023年8月4日号20面 岩手銀行釜石支店、産業活性化、“魚の街”復活支援、養殖魚ブランド化へ
【仙台】岩手銀行釜石支店(佐藤清文支店長=行員26人うち渉外12人。パート3人)は、「魚の街・釜石」を復活させるための支援活動に注力している。サンマやサケなどの漁獲量が大幅に減り、新しい漁業として「釜石はまゆりサクラマス」の養殖魚の販売拡大に貢献する。淡水養殖から海面養殖、出荷後の水産加工、地元飲食店での消費や土産物としての販売など地域全体の経済活性化につなげる。
同行は、2023年度から営業店の業績表彰制度を改定。本部が提示する推進項目ごとの達成状況を評価する総合表彰を廃止。各営業店が…
【写真】泉澤水産の村上通隆常務(左)に「釜石はまゆりサクラマス」の販売拡大を提案する及川学次長(中央)と融資・渉外グループの担当者(7月12日、泉澤水産)