2023年12月15日号2面 日銀、国債“買い過ぎ”影響分析、保有70%超で市場取引減
日本銀行は、大規模金融緩和による国債買い入れについて、「日銀保有比率」の上昇が市場機能の低下に作用していたことを示す独自の分析結果を明らかにした。12月4日に開いた「金融政策の多角的レビュー」のワークショップで報告した。「連続指値オペ」といった人為的かつ強硬的な金利抑制策が、取引量の減少やイールドカーブ(利回り曲線)の歪みを助長させ、国債の買い手と売り手の金利目線が合いにくい環境を生んでいた可能性がある。 中央銀行の国債購入は通常、取引を活発化させる。買い入れ行動によって…
2023年12月15日号5面 山梨中央銀行、ICTコンサル拡充、取引先の自走を支援
山梨中央銀行は、2024年1月からICT(情報通信技術)導入に関するコンサルティング機能を拡充する。担当者を増員し、各営業店の巡回を開始。勉強会の開催や帯同訪問を通じて、行員の底上げを図るほか、ICTコンサルに関する現場の認知度をあげる。23年度下期は、営業店からのトスアップ件数を上期の3倍程度に増やす目標を立てた。地域の事業者でデジタルトランスフォーメーション(DX)が進んでいない先に対し、デジタライゼーションなどを足がかりに支援を広げていく。 同行は、2019年6月のコンサルティング営業部発足と同時にICTコンサルを開始した。各営業店が取引先の課題やニーズを発掘し、…
2023年12月15日号6面 信金、経営者保証の対応進む、規定見直しなど施策も
信用金庫は、経営者保証に依存しない融資の確立に向けて対応を進めている。内部規定を見直して解除促進に向けた役職員の意識醸成を図るなど独自の取り組みが進む一方、将来的な顧客とのトラブルを懸念するなど新たな課題も出てきた。 金融庁によると、民間金融機関の新規融資に占める経営者保証に依存しない融資の割合は、2022年度が33.2%。金融庁と中小企業庁はさらなる解除促進に向けて、保証の必要性や解除方法に関する経営者への説明を義務化するなどの政策を取りまとめ、…【写真】特別講座を行う日下氏(12月1日、東京都)
2023年12月15日号8面 【実像】検証・全銀システム障害、“安全”を過信・BCP強化急務
国内の銀行間送金を担う「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」で10月10日に障害が発生し、三菱UFJ銀行など10行で、他行宛ての振り込み(仕向送金)ができなくなった。稼働から50年間で初めて顧客に影響を及ぼしたシステム障害は、決済の中核である金融インフラへの絶対的な信頼を根底から揺るがした。「安全」を最優先してきたシステムになぜ綻(ほころ)びが生じたのかを検証する。 ■判断ミス重なる 「組織として押さえておくべき点で判断を誤った」――。12月1日に運営会社の全銀ネットと開発ベンダーのNTTデータのトップが初めて顔をそろえ、記者会見を開催。多くの報道陣が見守るなか…
2023年12月15日号12面 銀行界、パスワードレス認証導入、アプリログインなど
住信SBIネットは団体加盟 パスワードレスの個人向け「FIDO認証」が銀行界で浸透しつつある。三菱UFJ銀行や島根銀行などが銀行アプリへのログインや振り込みを始めとしたサービス利用時の認証に導入。12月8日には、住信SBIネット銀行が開発・普及を推進する非営利団体「FIDOアライアンス」にネット銀行で初めて加盟した。 FIDO認証は、サービス利用者のスマートフォンなど端末で本人確認情報を管理する仕組み。FIDOアライアンスによると…
2023年12月15日号15面 REIT、ETFの選択肢増える、セクター投資やヘッジも
不動産投資信託(REIT)関連の指数を対象指標とする上場投資信託(ETF)の選択肢が増えてきた。住宅やオフィスなど特定のセクターに特化した指数を対象とする商品や、原指数と逆の値動きをする「インバース型」が東京証券取引所に上場。金融機関を含むETF投資家にとっては、マーケット環境に合わせたセクター別投資やヘッジ目的での活用が期待できる。 ETF専門資産運用会社の「Global X Japan」は10月にオフィス、住宅、ホテル・商業施設にそれぞれ特化した…
2023年12月15日号16面 全労金の2024年春闘方針案、正職員賃上げ5%目安
機運醸成へ初の水準提示 全国労働金庫労働組合連合会(全労金、14単組、組合員9千人、深見正弘委員長=東海労金労組)は、2024年春闘で5%を目安に正職員の賃金引き上げを要求する方針案を固めた。方針案に水準を明記したのは、統一要求開始以来、初めて。持続的な賃上げによる経済好循環を生み出す「正念場」(深見委員長)と捉え、国内企業の賃金向上ムードの醸成を後押ししたい考え。 11月30日に開催した中央委員会で方針案を提起し、取り扱いを確認した。具体的には「正職員」が定期昇給含む5%、…【写真】2024年春闘の意気込みを語る深見委員長(中央、11月30日、全電通労働会館)
2023年12月15日号17面 鶴岡信金、クリーニング店で学ぶ、職員を取引先へ派遣
【仙台】鶴岡信用金庫(山形県、佐藤祐司理事長)は、職員に取引先企業の業務を体験してもらう「アナザー・ジョブ・トレーニング制度(AJT制度=異業種交流研修制度)」に基づく職員の派遣を始めた。12月は、20代の職員3人を取引先2社に派遣した。 同制度は、2023年度に導入。従業員への優遇サービスなど提供するライフサポート協定を結び、職員の受け入れを承諾した取引先へ… 【写真】佐藤光工場長(右)から作業の指導を受ける担当者(12月6日、トータルクリーニングサービスたこい)
2023年12月15日号18面 百十四銀行白鳥兼引田支店、若き畜産農家の挑戦後押し
オリーブ牛飼育拡大へ、日本公庫と協調融資 【高松】百十四銀行白鳥支店兼引田支店(河渕崇支店長=行員19人うち渉外6人。パート・嘱託6人)は、香川県のブランド牛「オリーブ牛」の飼育拡大に挑戦する若き畜産農家を支援している。農業支援のノウハウを持つ日本政策金融公庫と連携し、事業計画の策定や融資で実現に向けたサポートを展開。手袋生産と養殖漁業の2大地場産業が大部分を占める融資先業種の拡充につなげている。 同店が立地する香川県東かがわ市は、国内90%以上のシェアを有する伝統の手袋生産と、ハマチ養殖の発祥の地として… 【写真】完成した牛舎で砂川拓也氏(左)からオリーブ牛の肥育について説明を受ける担当者(中央)と河渕崇支店長(11月15日、香川県東かがわ市)