2023年2月17日号2面 実像 解禁・デジタル給与(上)「ペイ」に広がる門戸 崩すか銀行の牙城
4月に解禁される「デジタル給与払い」。労働基準法施行規則が改正され、企業の従業員などは資金移動業者の口座で給与を受け取れるようになる。ただ、移動業者や企業に求められる要件は厳しく、受け取り側のニーズも読みにくいため利用が広がるかは未知数。金融サービス変革のきっかけになる可能性を秘めるが、これまで給与口座を独占してきた銀行など預金取扱金融機関の間では警戒感も漂う。準備を進める政府や移動業の動きを追い、迎え撃つ銀行の本音に迫る。
■消えた「外国人向け」
デジタル給与は、政府が解禁を考え始めた当初に想定していた制度よりも限定的なサービスになる。「銀行口座を持てない外国人向け」という目的が事実上なくなり…
【写真】現金の手渡しから始まり、預貯金口座への振り込みが中心になった給与支払い。スマホで使う決済サービスへの入金が主流になる時代は訪れるだろうか
2023年2月17日号5面 りそなG、「空飛ぶクルマ」事業を支援、認知度向上や96億円調達
りそなグループ(G)は、スタートアップが進める新規ビジネスの立ち上げに向けて、社会的な認知度アップと資金面を支えている。2025年開催の大阪・関西万博に照準を合わせた「空飛ぶクルマ」事業で、新しいインフラとしての社会実装が目標だ。
「空飛ぶクルマ」の開発と実証に取り組んでいるのはSkyDrive(スカイドライブ、愛知県)。りそながこの計画に携わり始めたのは、…
【写真】ビジネス実証セミナーに登壇したスカイドライブ(2019年6月4日、ビジネスプラザおおさか、りそな銀行提供)
2023年2月17日号6面 百五銀行、輸出と観光で活性化支援、尾鷲港の振興も後押し
【名古屋】百五銀行は、地域活性化に向け、地元産品の輸出やインバウンド拡大を後押しする取り組みを加速させている。輸出の支援では、2022年11月、国際営業部が中心となって全営業店にアンケートを実施。観光では、尾鷲港の活性化へクルーズ船の寄港を目指す。
アンケートの内容は、各店が取引先の商品や製品から輸出につながる可能性がある2品目を推薦するもの。「従来の方法だと…
2023年2月17日号7面 福邦銀行、企業版「ふるさと納税」拡大、17市町がスキーム参加
【金沢】福邦銀行が、RCG(東京都)との協業による企業版ふるさと納税スキームへの参加自治体を拡大している。1月末までに福井県全17市町のうち11市町と京都府福知山市が参加。さらに福井県と石川県の5市町も参加する見通し。寄付の受け入れ態勢が整い、今後は県外店のネットワークを生かした企業開拓を強化していく。
同行は、2022年3月にRCGと提携して企業版ふるさと納税のビジネスマッチング業務を始めた。長年築いてきた信頼関係もあり、…
2023年2月17日号8面 信金・信組、広がる人材紹介、内閣府事業を活用
宣伝や販路拡大を後押し
信用金庫・信用組合が、取引先の経営改善に向けた人材紹介を広げている。内閣府のプロフェッショナル人材事業や先導的人材マッチング事業を積極的に活用し、広告宣伝の強化や販路拡大を実現できる人材の確保を後押ししている。プロ拠点と連携して人材紹介会社から手数料を受け取れるスキームを構築している地域も多く、ビジネスとして採算を確保できる環境が整いつつある。
2016年に始まったプロ人材事業は、国が東京都を除く46道府県に拠点を置いて中小企業の人材確保を支援する取り組み。地域金融機関や民間の人材紹介会社と連携し、…
2023年2月17日号9面 横浜信金、2023年度末までに事務量3割削減へ、預金関連を本部集約
横浜信用金庫(横浜市、大前茂理事長)は、営業店後方事務の削減に向けた本部集中化に力を入れている。1月には基幹系システム更改に伴い、預金事務を集約したバックオフィスセンター(BOC)を本格的に運用。2024年3月末までに事務量全体の3割削減を掲げる。
1月にBIPROGY(旧日本ユニシス)の共同利用型勘定系サービス「OptBAE(オプトベイ)」を導入。これに合わせて横浜市内の事務センターを改装し、…
【写真】1月に新設した「預金バックオフィスセンター」(1月31日、北新横浜事務センター)
2023年2月17日号16面 特集 事件特集(上)、内部事件(2022年7~12月)
行職員の着服や詐取25件
2022年も金融機関行職員による着服や詐取といった内部事件が相次ぎ発生した。ただ、同年中に判明した内部事件は52件(本紙調べ)と、過去2年(2020年=82件、2021年=75件)比で減少が目立った。(2022年1~6月分の内部事件は2022年9月2日号で既報)
2022年下期(7~12月分)の内部事件は25件。引き続き、地域金融機関での発覚が際立ち…
2023年2月17日号19面 八十二銀行、CO2排出目標前倒しで達成へ、本店の電力を水力発電由来に
八十二銀行は2023年度中に、温室効果ガス(CO2)排出量の2030年度目標を前倒しで達成できる見通しだ。CO2フリー電力の利用やZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)店舗の拡大など、環境負荷低減に向けた施策を進めてきたことが背景にある。目標数値の上方修正も検討し、カーボンオフセットの実施など取り組みを加速させる。
同行は、2030年度にCO2排出量を2013年度比60%削減する目標を設定。CO2排出量の約70%が電気使用量で占めていることから…
2023年2月17日号20面 名古屋銀行西尾支店、コンサル営業、SDGs起点に経営支援
宣言策定25件で課題把握
【名古屋】名古屋銀行西尾支店(石川哲也支店長=行員19人うち渉外5人。嘱託・パート5人)は、SDGs(持続可能な開発目標)を起点とした取引先の課題把握に取り組み、経営改革を後押しするのが持ち味だ。ここ1年はポジティブ・インパクト・ファイナンス(PFI)といった環境関連の融資への取り組みを積極化。2022年度上期の店舗表彰では全店1位に輝いた。
環境関連融資が好調な背景は、積極的なSDGs宣言策定支援コンサルティングによる顧客ニーズの可視化がある。営業エリアの愛知県西尾市は製造業が盛んで…
【写真】金山化成の金山亮専務(左)から製造状況について聞く石川哲也支店長(1月26日、金山化成)