2023年2月3日号2面 実像 ゼロゼロ融資の出口戦略(下)「5重苦」しのぐ借り換え
廃業支援から再就職先の紹介も
実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資を受けた企業の返済はすでに開始されており、民間金融機関分は2023年7月から24年4月にかけて集中する見通しだ。ただ、コロナ禍の長期化をはじめに、原材料高や光熱費の高騰など中小企業を取り巻く経営環境は悪化している。ゼロゼロ融資の返済負担を軽減するため、1月10日から「コロナ借換保証」が始まった。地域金融機関ではこの制度を活用しながら、取引先の資金繰り支援に努めている。一方、収益改善が進まず、業績不振から脱することが困難な先も出てきた。事業再生を目的としたM&A(合併・買収)の提案や、廃業支援で従業員の再就職先を紹介するなど、それぞれが出口戦略に取り組む。
■新制度で負担減
コロナ借換保証は、民間金融機関によるゼロゼロ融資の借り換えのほか…
2023年2月3日号4面 金融界、手数料インボイス対応急ぐ、システム改修など必要
金融界は10月のインボイス制度開始に合わせ、顧客から徴収する各種手数料への対応を急いでいる。顧客が税額控除を受けられるよう、金融機関は手数料と合わせて10%の消費税を受け取る際に適格請求書(インボイス)の交付が必要となるほか、交付したインボイスの写しを保存することが求められるためだ。各金融機関は必要な対応などを関係当局に照会しながら、システム改修などを進めている。
これまで、預金通帳への記帳などで代用し書類を発行してこなかった取引は多い。交付している書類でも…
2023年2月3日号5面 埼玉りそな銀行、「支援リーダー」56エリア配置、経営悪化1000社と伴走
埼玉りそな銀行は、企業の経営改善や事業転換への支援を拡充するため、本部と営業店の連携を強化する。本部の融資部とのパイプ役「経営支援リーダー」を法人融資業務の全エリアに配置。経営が悪化した約1千先を対象に改善方針を協議する体制とし、好事例などからノウハウや知見を全社的に共有。これにより迅速な企業再生とともに新事業進出などをサポートする構えだ。
福岡聡社長は、実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資の返済本格化や資源・原材料高など経済環境が変化するなか…
2023年2月3日号6面 北海道銀行、4分野別の再構築完了へ、法人・富裕・住宅・窓口で
札幌市内、27カ店など
【札幌】北海道銀行は、札幌市内店(出張所含め全57カ店)などで進めてきた業務分野別の拠点再構築が、3月末までにおおむね完了する。法人営業、富裕層向けの資産運用コンサルティング、住宅向けなどの個人ローン、窓口業務の分野別にそれぞれ拠点を整え、従来のフルバンキング支店などから人員を集約・結集。案件やノウハウの共有、担当者相互の切磋琢磨(せっさたくま)などで、営業力を強化している。
企業取引では、これまでに本店法人営業部と第1~8の法人営業部計9カ所を開設。2月13日には、…
2023年2月3日号7面 ひろぎんHD、リース事業の提案を高度化、脱炭素や不動産に対応
【広島】ひろぎんホールディングス(HD)は、グループのアライアンス機能を活用したリース事業の提案を高度化している。リース取引は、ひろぎんリースを、銀行子会社の位置づけから、グループ内に並列化したことを契機に提案を加速。2020年10月の持ち株会社発足から22年9月末で取引先数は204先増加し、6362先となった。
「顧客に何が最適を考える提案で、脱炭素関連の設備投資や建築コストの上昇などで成果が出ている」(ひろぎんリース)。持ち株化により、…
2023年2月3日号8面 西武信金、マッチング機能強化、9カ月で4867件
ビジネスフェアも活用
西武信用金庫(東京都、高橋一朗理事長)はマッチング機能を強化し、商談件数や有償の成約件数を伸ばしている。特に商談件数は2022年4月~12月末で4867件と、年間目標3600件を早期に達成。22年5月からリンカーズのマッチングシステムを本格稼働させたことに加え、11月に主催したビジネスフェアを活用したことで大きな成果につながった。
西武信金は以前から取引先のトップライン引き上げを狙いにビジネスマッチングに注力していた。今回、リンカーズのマッチングシステム(LFB)を導入したのは、…
2023年2月3日号9面 富山県内5信金、預金照会業務を外部委託、信金界初のシステム化
【金沢】富山県内5信用金庫(富山・新湊・にいかわ・氷見伏木・石動)は1月27日、行政機関から依頼される預金照会業務を外部委託したと発表した。2021年4月に始動した5信金による後方事務共同化の一環。金融機関・行政の双方が手作業・紙ベースで実施していた業務をデジタル化し、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)することで事務の迅速化・合理化が目的。
北陸コンピュータ・サービス(HCS、富山県)が業務受託者となり、…
2023年2月3日号18面 山口FG、昇格要件を大幅改正、「脱年功序列」で登用
【広島】山口フィナンシャルグループ(FG)は、4月から人事制度の昇格要件を大幅に改正する。各役職で年功序列型となっていた昇格要件を社員が能力を最大限発揮できる態勢へ刷新する。これまで取り組んできた人的資本経営を加速する。
改正するのは「最低在任期間」と「昇格試験」の廃止。従来、昇格時には係長級・課長級それぞれの職能等級で3~5年の最低在任期間を設けていた。ただ、…
2023年2月3日号20面 第四北越銀行坂町支店、豪雨災害から復興、BCP奏功し早期復旧
1週間で全取引先の状況把握
【新潟】2022年8月に発生した豪雨で床上浸水の被害を受け、一時休業を余儀なくされた第四北越銀行坂町支店(渡部良支店長=行員11人うち渉外3人)。だが、日頃のBCP(事業継続計画)訓練が奏功し、支店機能を早期に復旧させた。顧客対応にも迅速に動き出し、災害からの時間経過によって変化する支援ニーズには的確に対応。同年12月末のソリューション提案による役務収益は2021年比で60%増加した。
新潟県村上市に大雨特別警報が発令されたのは2022年8月4日午前2時ごろ。夜が明け、渡部良支店長が社宅の2階から外を見ると…
【写真】豪雨で被災した有限会社やまたきの山田俊治郎代表取締役(左)と今後の対応などについて話し合う渡部良支店長(1月17日、復旧工事中の同社店舗)