2023年10月20日号2面 日銀分析、社債金利「上乗せ」拡大、米利上げや市場機能低下で
日本銀行は、ベースレートの国債利回りに「上乗せする金利(スプレッド)」が拡大傾向にある社債市場の分析に力を注いでいる。日銀の定量分析では、2022年半ば以降、発行体の財務状況悪化といった「個別」要因に加え、米金利上昇・変動に起因する市場の「共通」要因が大きく作用していることが分かった。23年初めには、日銀の人為的な金利抑制策が発行体と投資家の金利目線にズレをもたらし、スプレッドの広がりにつながったとする推計結果もみられた。
米欧の大幅利上げや高ボラティリティ(変動)相場は、超低金利政策が続く日本の債券市場にも起債時の「値決め」などに影響を及ぼしている。
日銀が定量分析したのは…
2023年10月20日号4面 山梨中央銀行、決算書情報の活用模索、データ分析で渉外サポート
山梨中央銀行は、取引先の決算書情報を分析し、信用リスクの管理や渉外活動に生かす試みを始めた。蓄積した決算データと格付情報の関係性を調べ、傾向をつかむ実験を9月から2024年3月に実施。渉外担当者が時間をかけていた企業分析をサポートするとともに「取引先とのコミュニケーションに時間を割けるようになる」(融資審査部)と期待する。
同行は、21年1月からアライズイノベーション(東京都)のAI‐OCR(人工知能を活用した光学文字認識)「AIRead」を利用し、…
2023年10月20日号5面 宮崎銀行、アプリ月1超利用者率83%、更新内製化で利便性向上
【鹿児島】宮崎銀行の「みやぎんアプリ」は、月間アクティブユーザー(MAU、月に1回以上利用のユーザー)率が83%と、サービス開始から2年半以上が経過した現在も高い水準を維持する。一般的に、MAU率はサービス開始後が高く、徐々に低下していくとされる。アプリ画面のデザイン更新を内製化し使いやすい状態を維持していることと、アプリ利用の拡大を狙ったプロモーション活動を本部が中心となり推進していることが背景にある。
振込や入出金明細の確認などができる同アプリは、2021年1月に…
【写真】中久保静香さん(奥)と二宮紅桜さんがデザインの変更などを担っている(10月6日、デジタル戦略室)
2023年10月20日号8面 特集 上場企業の成長秘話に迫る~真に必要な支援とは~
【名古屋】株式会社は全国で200数十万社に上る一方、上場までこぎつけた企業はわずか0.2%とも言われる。厳しい競争と上場審査を勝ち抜き、成長してきた背景には金融機関のサポートがある。真に必要な支援とは何か。東海地区の名だたる上場企業のうち、カレーハウスCoCo壱番屋(ココイチ)創業者の宗次徳二氏と、井村屋グループの現COB(取締役会議長)浅田剛夫氏にヒントを聞いた。
■社会意義ある融資で後押しを
名古屋証券取引所市場第二部上場から30余年を経て東京証券取引所市場第二部、さらに20年後には東証市場第一部に上場。東海地区の小さな菓子会社から、日本を代表する食品会社へと発展を遂げた井村屋グループ。「創業者の『公共性のある、社会的に責任のある会社に成長させたい』との夢を実現できた」と回顧する。
【写真】マスコットキャラクターのアズキキングと主原料のあずきをアピールする浅田剛夫氏(井村屋グループ本社)
2023年10月20日号10面 【実像】 「ノルマ廃止」の試練、脱“やらされ感”が生む現場力
営業担当者の活動やモチベーションを左右する業績評価。金融機関の都合を顧客に押し付けかねないノルマ(必達目標)の見直し機運が再び高まってきた。北国フィナンシャルホールディングスや京都信用金庫などは先陣を切ってノルマを廃止したが、2023年度には広島銀行や山梨中央銀行、西武信用金庫などが支店の営業目標の設定を、本部のトップダウン式から営業店のボトムアップ式に見直した。金融界でノルマ廃止の動きが出てから10年近く経った今も試練が続く。営業現場にまん延する「やらされ感」を払拭し、現場力を復活させられるかがカギを握る。
■りそな銀行、収益減覚悟
他の大手行に先駆け、17年度に投資信託など金融商品販売のノルマを廃止したのは、りそな銀行。当時、投信販売件数は伸びていたが…
【写真】富裕層の資産承継コンサルティングを展開する、りそな銀行池袋エリア営業第三部の担当者(10月16日、りそな銀行池袋支店)
2023年10月20日号11面 インド株投信に資金流入、7月以降に毎月1000億円超
成長期待や米株との分散
インド株投資信託への資金流入が拡大している。日興リサーチセンターによると、インド株を投資対象としたアクティブファンド31本への月間純資金流入額の合計は、7月から3カ月連続で1千億円を超えた。中長期的な経済成長が見込めるほか米国株との分散効果が期待でき、多くの証券会社の販売ランキングの上位に入った。三井住友DSアセットマネジメント(AM)は9月に新規購入申し込みを一時停止するほど資金を集めている。
4月以降は市況回復も追い風になり、9月末時点の純資産総額合計額は…
2023年10月20日号15面 特集 【独自調査】新NISA控え競争激化
新しい少額投資非課税制度(NISA)が2024年1月に始まる。新NISAでは投資枠の拡大や保有期間の恒久化など制度内容が拡充され、いよいよ「貯蓄から投資へ」の流れが加速するという見方がある。地域金融機関は好機と捉え、スマートフォンアプリに新機能を搭載したり、口座開設を目的としたキャンペーンや職域セールスなどを展開する動きが活発化。獲得競争が激しくなっている。ニッキンでは金融機関に対して、NISAを含む投資信託販売状況を四半期ごとに調査。今回は過去5年間の推移をまとめた資料(「NISAデータ集」2023年6月末)をもとに、業態別の傾向や個別金融機関の取り組みをみた。
■「つみたて」5年で急拡大、地銀9.5倍・信金は15倍
本紙の調査は、投信の窓口販売をする全金融機関が対象。NISAについては…
【写真】関西みらい銀行は2023年度下期から店内を「NISAは関西みらいで」の広告一色に(10月11日、関西みらい銀行川西支店)
2023年10月20日号17面 信金中金、取引先の誘客支援へ、デジタルマップ活用
信金中央金庫は、信用金庫取引先に対し、デジタルマップを活用した誘客支援を推進する。試行的な取り組みとして10月16日~12月3日、新潟信用金庫(新潟市)と連携し、スマートフォンを使ったスタンプラリー企画を開催。同市内の飲食店の利用に応じて抽選で賞品が当たる。企画の反響を踏まえて今後の方針を検討する。
地元活性化に向けては「住民の需要喚起による経済循環が重要」(信金中金)となるため…
【写真】ポスターを紹介する「割烹大善」の女将・大坂美佳子さん(10月16日、新潟市)
2023年10月20日号18面 きらぼし銀行新宿支店、課題解決スピード対応
グループ各社と連携し成果、多角的視点で議論徹底
きらぼし銀行新宿支店(菅谷拓・理事支店長=行員21人うち渉外担当10人・パート派遣4人)は、東京で最も競争が激しいエリアで、2018年度から5年連続「営業店表彰」を受賞。多種多様な業種から寄せられるさまざまなニーズに素早い対応を徹底していることが要因だ。東京きらぼしフィナンシャルグループ各社と連携した総合力で、課題解決に導く。
菅谷拓支店長のモットーは、「全員の声、意見をオープンにし、共有する」こと。加えて、常に…
【写真】菅谷拓支店長(左から2人目)も参加し円卓では活発な意見を出し合う(9月20日)