2023年3月31日号2面 実像 “攻め”に生かすクラウド(下)活用広がるも変革阻む風土
金融界でも活用が広がるクラウド。2022年度はITベンダーの間で「金融機関のクラウドに対する抵抗感が低くなった」との認識が一般化するなど、さまざまな場面で“クラウドありき”の計画が定着した。これまでハードルの高かった勘定系システムにも、この波が押し寄せている。代表例は、NTTデータの「統合バンキングクラウド」だ。
■共通領域を同一基盤に
「勘定系は銀行が手を取り合って協調していく領域。ある意味、塩漬けでいい」――。NTTデータの金融事業戦略部企画部の青柳雄一事業戦略担当部長はこう強調する。
同社は…
【写真】NTTデータは図右側のブッキングエリアを協調領域とし、同左側の領域を強化する筋道を立てる(同社提供)
2023年3月31日号4面 金融界、ISDN終了・EBに影響、顧客へ切り替え周知急務
全銀協は専用チラシ
金融界は、2023年12月末のISDNサービス提供終了に伴い、エレクトロニックバンキング(EB)やファームバンキング(FB)の接続への影響を懸念している。利用顧客が、それ以降もISDN接続から切り替えない場合、利用機器によっては伝送の遅延などによりEB・FBの処理に時間を要し、最終的に決済ができなくなる恐れもあるためだ。全国銀行協会は3月30日、利用者向けにISDNから代替サービスへ切り替えるよう案内するチラシを公表。会員銀行を通じ、取引先に早期の切り替えを促す。
NTTが長年提供してきたISDNサービスは、一つの回線契約で電話回線二つ分の利用ができるのが特徴。多くの企業で…
2023年3月31日号5面 三井住友銀行、サステナファイナンス拡大、専用ツールで営業店が推進
三井住友銀行は、営業店担当者によるサステナブルファイナンスへの取り組みを強化する。2020~30年までの10年間で同ファイナンス30兆円の実行というKPI(成果指標)の下、取引先のサステナビリティ経営を後押しする。新たに第一線を支援する分析ツールを開発し、これまで本部が中心となっていたポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)を、営業店主体で取り組む体制を整えた。担当者の顧客理解に基づく質の高いエンゲージメントを実現し、サステナ分野の全社的な知見の底上げを通じて企業価値向上を目指す。
同行ではサステナブルファイナンスの拡大には第一線の銀行員の力が欠かせないと…
2023年3月31日号6面 八十二銀行、経営者保証を原則求めず、8・9割を無保証に
八十二銀行は、経営者保証に依存しない融資を拡大していく。4月3日から原則として経営者保証を求めない方針を打ち出し、行内用のチェックシートも条件を大幅に緩和した。今後、新規融資の8、9割を無保証で実行することを見込む。
「当行は、法人のお客さま向けのご融資に際し、原則として経営者保証はいただきません」――。3月20日に「経営者保証等に関する取組方針」を同行ホームページに…
2023年3月31日号10面 住友生命、「健康プログラム」銀行と連携、利用者は3年間で240万人へ
住友生命保険は、2025年度までに主力の健康プログラム「バイタリティ」の会員数を、現在の100万人から240万人に引き上げる計画だ。ニッキンとのインタビューで高田幸徳社長が明らかにした。その一環で、メガバンクグループや地域銀行と連携し、銀行アプリなど通じた顧客の利用拡大を推進する。地域銀とは24年度以降の連携を見据え、システムや仕様対応を進めていく。
同社は3月24日、期間3年(23~25年度)の新中期経営計画を発表。新中計の柱にバイタリティの会員数拡大を掲げ、…
【写真】高田社長
2023年3月31日号13面 Crewwとグーグル、SUの国際展開へ支援、金融機関もバックアップ
グーグルとスタートアップ(SU)支援のCrewwは、電力や水、食料保全などのサステナビリティ推進を手がける国内SUのグローバル展開を支援していく。3月22日に6カ月の支援プログラム「Global Sustainability Accelerator」を開始。SUが持つ技術・サービスを海外企業や政府に売り込み、SUの事業成長や発展途上国などの地域の社会課題解決につなげる。
グーグルは、SUや起業家を育成するプロジェクト「Google for Startups」を2011年に立ち上げ、世界各国のパートナー企業と連携ながら事業成長を後押ししている。日本国内で6千社以上の…
【写真】山田環境副大臣(中央)やスタートアップ10社の関係者ら(3月22日、Google for Startups Campus)
2023年3月31日号17面 特集 東海地区金融機関、激戦区“愛知”住宅ローン、カギは独自性の発揮
【名古屋】人口約750万人、全国4位の人口を有し、製造業を中心に経済的にも豊かと言われている愛知県。“名古屋金利”という言葉があるほど、金融機関では融資拡大に熾烈(しれつ)な競争が展開されている。なかでも住宅ローンは、商品性に大差がないことから、独自性発揮がカギになる。東海地区に本店を置く地域銀行2行、2信用金庫の戦略を追った。
■愛知銀行、統合シナジー発揮へ
2024年をめどに中京銀行との合併を控える愛知銀行。営業推進部所属のローンアドバイザー(LA)が、名古屋市東部や三河地区での案件獲得に力を入れ…
【写真】住宅ローン営業の統合効果へ向け、愛知銀行・中京銀行の行員が同じ場所で勤務しノウハウを共有する(中京銀行、勝川支店)
2023年3月31日号19面 金広委、“子供版”金融リテラシー調査、今夏にネットで
日本銀行に事務局を置く金融広報中央委員会は2023年度、インターネットによる高校生向け金融リテラシー調査を実施する。
金広委は、主に成人(大人)を対象とした金融リテラシー調査を3年ごとに実施。その“子供版”と位置づけ、義務教育を終えた高校1年生を対象に、金融知識のレベル感を把握する狙い。
2022年度中に、本番調査を見据えた「テスト調査」を行うなど準備作業を進めており…
2023年3月31日号20面 横浜銀行元町支店、ソリューション営業、中華飲食店の経営多角化支援
個社別会議に仮説立て提案
横浜銀行元町支店(櫻木達矢支店長=行員33人うち渉外担当17人。パート22人)は、取引先の課題を解決するソリューション営業に注力。エリア内の中華街で飲食業者の経営多角化や、元町商店街の老舗バッグ店のデジタル化を支援することで成果につなげる。100年以上の店歴で築いた営業基盤と商店街の一角にある好立地の強みを生かし、顧客とのリレーションを一段と高める方針だ。
2022年8月に着任した櫻木達矢支店長は「顧客との距離が近く、銀行に対する期待が非常に大きい」と実感。コンコルディア・フィナンシャルグループが現中期経営計画で掲げる…
【写真】王府井の矢崎堅社長(右)は今後も「横浜銀行が定期的に来社し相談に乗ってくれる」ことに期待する(左は櫻木達矢支店長、2月14日、横浜中華街)