2023年1月27日号2面 実像 ゼロゼロ融資の出口戦略(上)7月から返済開始が集中
過剰債務問題へ対処急ぐ
実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の出口戦略が喫緊の課題だ。同融資は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、中小企業などの支援策として2020年3月にスタートした。当初は日本政策金融公庫や商工組合中央金庫で取り扱ったが、政府系だけでは殺到する申し込みをさばき切れず、打開策として民間金融機関にも開放。利用の申請は20年4~6月にピークを迎え、22年9月末で政府系も終了した。ゼロゼロ融資を受けた企業の返済はすでに開始されており、民間分は23年7月から24年4月にかけて集中する見込み。ただ、資源高や原材料価格の高騰も影響して、過剰債務の状態にある企業も多いとみられる。地域金融機関や支援機関の取り組みをみた。
【写真】千葉県信保協が2022年4月に新設した「伴走支援チーム」に所属する(左から)川島主任と田中健太氏(1月17日)
2023年1月27日号3面 通常国会開幕、金商法改正案など60本、成長担保権の創設も視野
通常国会が1月23日に始まった。政府は60本の法案提出を予定し、金融庁は金融商品取引法の改正などで市場環境の整備に取り組む。社会の脱炭素化やデジタル化の推進に向けた法案も準備され、事業成長担保権の創設も視野に入る。経済産業省は信用保証制度の見直しや商工組合中央金庫の完全民営化に向けた制度改正を検討しており、金融関連の議論が注目を集めそうだ。
金融庁が提出を決めたのは、金商法などの改正法案と、社債、株式振替法などの改正案の2本。一括審議を求めており…
2023年1月27日号4面 金融界、安全対策の外部評価取得、ATM脆弱性を低減へ
DX化で対策加速
金融界で、外部機関の評価を介したサイバーセキュリティー対策に乗り出す動きが、活発化する見通しだ。重要インフラ14分野に該当する金融で、第三者による認証を通じたセキュリティーの担保が急がれるため。専門団体が作成したガイドラインに沿う対策を講じ、DX(デジタルトランスフォーメーション)化を加速していく。
金融界では、金融情報システムセンター(FISC)が策定する安全対策基準を順守するのが基本。技術革新が進む一方…
2023年1月27日号6面 北国FHD、投資助言ビジネス強化、金融機関の運用支援
【金沢】北国フィナンシャルホールディングス(FHD)は、投資助言ビジネスを強化する。傘下の投資助言会社の陣容を拡大して専門性を高め、個人の資産形成だけでなく他の地域金融機関の有価証券運用のサポートも本格化していく。
2022年12月に投資助言会社のALCOLAB(アルコラボ、東京都)と、資本業務提携について基本合意書を締結。23年3月末までに最終的な契約を交わし、…
2023年1月27日号7面 鹿児島銀行、営業店事務を変革、1年半で8万時間削減
【鹿児島】鹿児島銀行は店頭手続きのプロセスを見直し、営業店事務の変革を進めている。活用するのは店頭窓口に備えるタブレットやウェブサイトで提供する伝票作成ツールだ。利用者の負担を減らし、銀行にとっても事務リスク抑制や効率化につなげられる。事務プロセス改革を通じて余力を創出し、相談業務などに経営資源を投入したい考え。
窓口タブレットによる手続きは、利用者が必要項目を入力し、データを営業店システムに連携させて処理する。店頭で利用者が紙の書類に記入する負担を減らせ、…
2023年1月27日号8面 信金中金、菓子の輸出支援へ商談会、信金はリアル開催相次ぐ
信金中央金庫は1月23日から5日間、海外販路の開拓を支援するため、商材を菓子類に絞ったオンライン商談会を実施。最終日の同27日までに、全国の信用金庫から推薦を受けた菓子製造業のサプライヤー64社と、海外市場に詳しい日系商社を中心とするバイヤー10社が、計155件の商談を行う。一方、個別信用金庫では、コロナ禍で中断していた対面式のビジネスマッチング商談会を再開する動きが本格化しており、各信金からの要請に応じて最適なバイヤーを紹介する側面支援も同時並行で進めている。
海外販路の商談会は2017年度から継続しており、…
【写真】バイヤーとサプライヤーのオンライン商談会に参加する信金中金職員(1月23日、信金中金)
2023年1月27日号18面 生保労連・2023年春闘方針、「収入向上」を要求、未来への転換点に
全国生命保険労働組合連合会(生保労連、19単組、組合員約24万人、勝田年彦委員長=住友生命労組)は、2023年春闘で営業職員と内勤職員の「収入の向上」を統一要求基準にして取り組む方針を固めた。生保産業の外部環境は厳しい状況だが、上昇基調にある消費者物価への対応や生産性向上などの観点から、「人への投資」を積極的に進め、組合員の意欲や働きがいを高めていく。勝田委員長は、「23春闘を『未来に向けてのターニングポイント(転換点)にする』」と決意を語る。
1月17日に東京都内の会場とオンラインで開催した「第56回中央委員会」で、…
【写真】挨拶する勝田委員長(1月17日、都内、生保労連提供)
2023年1月27日号17面 滋賀県信保協・奈良県信保協、全国初BCP連携、被災時に本所機能提供
【大阪】滋賀県信用保証協会(西嶋栄治理事長)と奈良県信用保証協会(松谷幸和会長)は1月20日、災害時などのリスクに備えて「BCP対策に係る業務連携協定」を締結した。信用保証協会間では全国初。どちらかの拠点が被災した場合、もう一方の拠点を臨時事務所として保証業務などを継続する。
両協会は拠点が本所のみで、災害などが起きた場合の臨時拠点がないという課題があった。ともに基幹システムは…
2023年1月27日号20面 朝日信金浅草雷門支店、コロナ禍の伴走支援、「事業黒字化」を最優先
補助金や資本性ローン活用
朝日信用金庫浅草雷門支店(依田寛之支店長=職員15人うち渉外6人)は、観光都市・浅草でコロナ禍の事業者支援に全力を挙げる。観光・宿泊関連を中心にコロナ関連の融資残高(2022年11月末)は、335件・68億円に上っている。伴走支援ではコロナ関連資金の返済が本格化するなかで、ウィズコロナ時代を見据えて個社別事業の黒字化による財務改善に取り組む。
依田寛之支店長は、2021年7月に本店営業部次長から着任。過去には立川、板橋各支店で営業次長を務めるなど現場一筋だ。支店運営方針は…
【写真】(左から)常盤堂雷おこし本舗の穂刈久米一社長を訪れる営業係調査役と営業次長(1月12日、浅草雷門で)