2023年2月24日号2面 実像 解禁・デジタル給与(下)顧客接点シフト警戒 移動業と協業も
給与の現金支払いの例外として、預金取扱金融機関や証券会社だけに認められてきた「給与振込」。その構図が4月からのデジタル給与制度で崩れ、資金移動業者にも門戸が開放される。ただ、ガイドラインの細部にはなお不明な点が多く、前向きに検討しているのは数社にとどまるうえ、消費者の認知度も低い。それでも、社会のDX(デジタルトランスフォーメーション)化進展で利用が広がる可能性はあり、金融界は顧客接点がシフトすることへの警戒を緩めない。
■楽天ペイは参入表明
資金移動業の85社(2022年9月)のうち、厚生労働省から指定を受けた事業者は4月以降…
【写真】ペイアプリを提供する各社はデジタル給与参入を検討
2023年2月24日号1面 政府、日銀新総裁に植田氏を提示、“前例なき正常化”の道探る
政府は2月14日、黒田東彦・日本銀行総裁の後任に、元日銀審議委員で共立女子大学教授の植田和男氏(71)を充てる人事案を国会に提示した。24日からの所信聴取などを踏まえ、衆参両院の同意が得られれば、黒田総裁が任期を終える翌日の4月9日に就任する。また、3月19日に任期満了の雨宮正佳、若田部昌澄両副総裁の後任には内田眞一・日銀理事(60)と氷見野良三・前金融庁長官(62)を起用する案も合わせて示した。正副総裁ともに任期は5年。
【写真】植田・次期総裁候補の知見や手腕に対する金融界の期待は大きい
2023年2月24日号5面 三菱UFJ銀行、「事業共創投資」で産業創出、大企業とリスク負う新発想
三菱UFJ銀行は、大企業と共に事業リスクを負いながら新事業や産業の創出を目指す「新発想」のエクイティ投資に挑む。外部人材を採用して行内に新部署を立ち上げ、企業の革新を支える枠組み構築を進めている。
この挑戦の中心にあるのは「事業共創投資部」だ。中田義一・事業共創投資部副部長は新しい投資について「銀行員は融資をできても経験がないなかで手探りであり、『探索』領域として推進している」と話す。これまでの実績は数件で、…
2023年2月24日号6面 十八親和銀行、「離島事業者」育てる、1次産品をマッチング
【福岡】十八親和銀行は、長崎県内の対馬や壱岐島、五島列島など離島の事業者育成に注力している。離島振興地方創生協会と共同開催のオピニオンリーダー講習会では、経営者やマーケティング担当者を講師に招き、事業者に情報を提供。来島を契機に離島の1次産品の商談仲介も行い、年間約10億円の離島事業者の売り上げにつながっている。
同行は、離島振興地方創生協会の事務局に行員1人を派遣し、本部では地域振興部が…
【写真】十八親和銀行の離島振興支援について講話する山川頭取(2月9日、壱岐振興局)
2023年2月24日号8面 しんきん地域ネット、2023年度は地公体など15事業受託
地元信金へ波及効果狙う、G7機に広島4信金と連携
信金中央金庫の地域商社「しんきん地域創生ネットワーク」(しんきん地域ネット)は、地方公共団体の事業を積極的に受託し、地元信用金庫への波及効果を狙う。2023年度は、全国の地公体などから15事業を請け負うことが固まった。22年には広島県の事業を受託。県産食材の生産者と県内ホテル、飲食店のマッチングを後押しする。県内信金と連携し取引先を紹介してもらい、本業支援にもつなげたい考えだ。
しんきん地域ネットは21年7月、信金中金の100%出資で設立された。全国の信金ネットワークを活用して、…
2023年2月24日号9面 大垣西濃信金、窓口支援システムで成果、営業接点増え業績向上
【名古屋】大垣西濃信用金庫(岐阜県、栗田順公理事長)は、窓口支援システムを活用した営業接点の拡大で成果が出ている。同システムの導入により、口座開設や定期預金解約といった手続き時間の短縮で効率化を推進。削減時間分を営業に充てることで、導入店舗では個人業績評価ポイントが増加した。
窓口支援システムは、しんきん共同センターなどが開発したもので、…
【写真】タブレットを利用した取引は両替や諸届け、入金などが多い(2月1日、本店営業部)
2023年2月24日号16面 特集 事件特集(下)、強盗・情報流出・その他事件(2022年7~12月)
店舗強盗が増加傾向
2022年7~12月(下期)に金融機関で発生した店舗強盗事件は5件(日本防災通信協会調べ、犯行現場が特定・公表されている事件のみ)で、前年同期比3件増加。同年(通年)では前年比6件増の15件で、うち現金被害は3件(前年比2件増、最高被害額は105万円)だった。一方、超少額(3円)を脅して要求・逃走したのちに、逮捕されるケースもあった。
顧客情報に関する漏えいや紛失は下期に7件発生。「紛失」では…
2023年2月24日号17面 岐阜県信保協、「知的資産報告書」策定、職員の意識と行動変容へ
【名古屋】岐阜県信用保証協会(石原佳洋理事長)は、自社の「知的資産経営報告書」を策定して職員の意識改革と行動変容を推し進めていく。保証協会の役割や経済情勢が変化するなか、存在価値を明確にして目指すべき方向性を職員に浸透させる狙いがある。同報告書の策定を試みるのは金融界で珍しい。
知的資産経営報告書の策定は、事業者向けの支援メニューとして2019年度に開始。これまで37社に対する…
2023年2月24日号20面 大分銀行湯布院支店、地域活性化、旅館の新事業に伴走
事業費5億6000万円を支援
【福岡】大分銀行湯布院支店(吉武慎也支店長=行員14人うち渉外7人)は、営業活動を通じて観光地・湯布院の活性化に向けた取り組みを展開する。同行グループ、提携先とともに取引先の課題解決や新事業を目指す旅館には補助金活用の提案から申請まで伴奏支援。同行が2022年4月から取り扱う「セグメントファンド」では、12月末までに39件、9億7千万円の融資を実行した。
吉武慎也支店長は「密着戦略の典型的なエリアで、地域の活性化は不可欠」とし、情報収集、伴走支援、由布市のビジョン策定サポートに取り組む。情報収集は…
【写真】施設内で情報交換する(左から)佐藤友治支店長代理、吉武慎也支店長、玉の湯の桑野和泉代表取締役社長、神志那晃弘経営企画室長(2月1日、由布院 玉の湯)