2023年6月30日号2面 実像 迫るサイバー犯罪の脅威、対策の「勘所」全社共有
オンラインサービスの拡充に伴い、サイバー攻撃や不正送金などサイバー犯罪の脅威が高まっている。金融機関になりすまして情報を盗み取るフィッシング詐欺は2023年に入り急増。身代金を要求する「ランサムウェア」の被害に遭うリスクも増大している。サイバー犯罪対策は専門部署だけでなく、業務部門を含めた全社的な対策が求められる重要な経営課題になってきた。
■フィッシング報告最多
警察庁と金融庁は4月、インターネットバンキングの不正送金被害が急増していると異例の注意喚起をした。1月に発生件数17件、被害額4600万円だったのが…
【写真】金融ISAC年次総会で行われた「サイバークエストミニ」(5月26日、東京国際フォーラム)
2023年6月30日号4面 銀行界、新卒スカウト活用3倍 「ほしい人材」直接アプローチ
コロナ後も攻めの採用
銀行界で、新卒の逆求人(スカウト型)サイト「Offer Box(オファーボックス)」の活用が2020年からの3年間で3倍に急増している。同サイトを運営するi‐plug(アイプラグ)によると23年3月末時点で77行・グループに達する。効率的に潜在層と接触できる利点がある。理系学部出身学生やUターン生を確保する好事例が出ており、コロナ後もオンラインを駆使した「攻め」の採用は続きそうだ。
スカウト型は、登録者から自社が採用したい人材を選んでメールを直接送り、アプローチする手法。学生側は…
2023年6月30日号6面 十六FG、ベンチャー投資で領域拡大、事業共創通じ地域に貢献
【名古屋】事業領域の拡大を命題の一つに掲げて持ち株会社を発足させた十六フィナンシャルグループ(FG)。ベンチャー投資を通じた事業共創で領域拡大に挑んでいる。スタートアップ支援だけでなく地域社会の活性化に貢献でき、収益増強にも寄与する施策として積極展開する。
■ナッジと提携カード
代表例が、クレジットカードの利用を通じて、好きな地域スポーツクラブを応援できるスキームを構築したナッジ(東京都)との協業だ。利用額に応じて、…
【写真】事業共創に向けたスタートアップ企業の発掘へ、グループ子会社の各社長を審査員に迎えピッチイベントを開催した(6月19日、岐阜県羽島市)
2023年6月30日号7面 百十四銀行、効果的提案へ顧客情報分析、マーケティング確度高める
【高松】百十四銀行は、顧客に関するあらゆる情報を集約・分析して効果的な提案につなげる「データベース・マーケティング」に取り組んでいる。顧客へのアプローチを多様化して接点を増やすのが狙い。ノウハウの吸収や専門人材を育て、2023年度から徐々に動き始めた。
手掛けるのは、22年4月に新設した「デジタル戦略室」の行員9人。1年間、外部のコンサルティング会社から支援を受けながら体制を拡充してきた。とくに情報分析の肝となるデータサイエンティストは、…
2023年6月30日号8面 全信協、全国信金大会を開催、岸田総理ら500人来場
全国信用金庫協会は6月21日、東京都内の経団連会館で「全国信用金庫大会」を開催した。来賓あいさつでは岸田文雄首相、鈴木俊一金融担当相、西村康稔経済産業相、植田和男・日本銀行総裁、小林健・日本商工会議所会頭が登壇。経済活動が活発化する一方、中小企業の人手不足や米欧の信用不安による影響、原材料価格の高騰など、日本経済の先行きは不透明ななか、取引先が経営環境の変化に対応するため資金繰りや課題解決支援に取り組むことなどを確認した。
全国から253信金(委任状出席を含む)が参加し、…
【写真】来賓あいさつする岸田首相(6月21日)
2023年6月30日号18面 大手証券・生損保、健康管理を経営課題に、野村証券は「歩く」習慣を
大手証券や生命・損害保険会社で、社員の体調管理を経営課題と捉える「健康経営」の取り組みが加速している。健康増進を通じて生産性向上につなげ、企業価値を引き上げる狙い。野村ホールディングス(HD)や東京海上日動火災保険などは独自の推進体制を整え、健康アプリなどを活用し社員が楽しみながら取り組める環境を提供している。
野村HDは2016年に国内で珍しいCHO(健康経営推進責任者)を設置して以降、ウォーキングイベントの開催や人間ドック休暇の導入、就業時間内の禁煙など、…
【写真】野村HDは健康管理アプリ「WellGo」を活用し、社員の健康維持のインセンティブを提供している(野村証券提供)
2023年6月30日号16面 特集 【読者の意見】生成AI「GPT」の可能性と影響
「利用価値あり」9割超、懸念残るも効率化に期待
オープンAI社の「チャットGPT」に代表される生成人工知能(AI)。2023年に入り、金融界でもメガバンクグループや大手の証券会社、保険会社が実用化へ動き出した。将来的には本部・営業現場ともに活用が増える見通しだ。当面は定型的な業務での活用が広がることが予想される。利用価値や業務への影響、効果を期待する分野を聞いてみた。
■Q1.生成AIはビジネス上の利用価値を感じるか
「ある」と選んだ割合は4割近くに達し、「条件付きで『ある』」との回答を含めれば9割を超えた。質問を入力すればインターネットの膨大な情報からデータを選び…
【写真】銀行など金融機関業務の効率化へ期待が集まる生成系AI。一方、「チャットGPT」の活用は安全面に懸念も残る
2023年6月30日号17面 福島県4信金、取引先のDX化支援、若手を推進専担者に登用
【仙台】2024年1月から本格化する改正電子帳簿保存法の対応へ向け、取り組みが急務となる中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化。福島県内の信用金庫は、入庫5年目以内の職員を取引先企業のDX化専担者として登用する動きが活発だ。特に法人ポータル「ケイエール」(信金中央金庫提供)を活用し、資金繰り表の作成や月例資料をメールでのやりとりへ移行するなど業務効率化を手助けする。専担者に抜擢(ばってき)され、本部と営業店の架け橋として奔走する若手の意気込みを聞いた。
■親密度アピール
あぶくま信用金庫(太田福裕理事長)は、2022年10月から本部に古内海人・業務推進部営業推進課兼商品開発課主任(2020年入庫、26歳)を配置した。同月に取り扱いを始めたケイエールは…
【写真】取引先へ頻繁に足を運び、関係を構築するあぶくま信用金庫の古内海人主任(左、5月30日、浪江町)
2023年6月30日号20面 飯能信金南大塚支店、町おこし、サツマイモで地域振興
イベント創出や取引拡大も
飯能信用金庫南大塚支店(三田恒次支店長=職員18人うち渉外6人。パート3人)は、埼玉県川越市の特産品「サツマイモ」を通じた地域振興支援に取り組み、地域内の存在感を高めている。芋農家・関連団体・企業との仲介役となって、芋をテーマにしたイベント「第1回コエド芋パーク」の開催を2月に実現。関係先との信頼関係を構築した結果として、取引開拓・拡大にもつながっている。
2022年3月に着任した三田恒次支店長は、市内5カ店の川越ブロック長も務める。信金の強みを生かすため…
【写真】農業参入した三共木工の松本弓彦総務部長(右)と生産したサツマイモを使ったようかんについて情報交換する(左から)田中雄太次長と三田恒次支店長(6月8日、埼玉県川越市の@FARM FARMER'S MARKET)