2023年7月28日号2面 実像 進むか退くか住宅ローン、基盤確保へ終わらぬ戦い
貸出金残高が200兆円を超え、なお成長を続ける住宅ローン市場。超低金利下での競争は変動型金利の最下限を0.1%台まで押し下げ、不動産業者とのパイプで顧客を獲得してきた金融機関はインターネット専業銀行に太刀打ちできなくなってきた。低収益化が進んでも、地域銀行などは顧客と貸出金の量を確保する観点から簡単には撤退を選択できず、金利以外での差別化が問われる傾向が一層強まるなど出口の見えない戦いが続く。「儲からない基盤商品」の行き先を探った。
■スマホが変えた競争風景
「住宅ローンも『名古屋金利』か」――。法人向け融資の金利競争が激しい愛知県。2022年秋に県外の地方銀行が変動金利型の住宅ローンで…
【写真】都市部マンションの価格高騰は住宅ローン競争激化の要因にもなっている(7月12日、都内)
2023年7月28日号4面 地域金融機関、AI推奨でマッチング、一部が実証実験開始
地域金融機関が、取引先企業同士のビジネスマッチングに人工知能(AI)を活用する実証実験を始める。ココペリ(東京都)の中小企業向け経営支援プラットフォーム「ビッグアドバンス」を導入している金融機関のうち、まずは一部の地域銀行で7月下旬から開始した。他の地域銀や信用金庫などには段階的に広げる計画。AIの力を生かして、取引先企業の商機を増やす。
ビッグアドバンスのビジネスマッチングサービスに、AIによる自動レコメンド機能が新たに搭載された。ユーザーの中小企業が…
2023年7月28日号5面 三井住友FG、外貨ビジネスをグループ展開、信託の知見を銀行に伝授
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は、富裕層向けの外貨関連ビジネスを得意とするSMBC信託銀行のノウハウを三井住友銀行にも伝授し、グループ全体で取り組みを強化している。これまでSMBC信託銀がカバーできなかった“準富裕層”などに接点を持ち、顧客基盤を広げる狙いがある。
三井住友FGは、2023年度から3カ年の新中期経営計画で外貨ビジネスを資産運用サービスの一つに位置づける。4月に三井住友銀リテール部門内に…
2023年7月28日号7面 あいちFG、承継支援でシナジー発揮、愛知銀行の知見を共有
【名古屋】あいちフィナンシャルグループ(FG)は、愛知銀行、中京銀行両行による事業承継支援体制を構築することで、シナジー効果の早期発揮を目指す。承継支援で先行する愛知銀のノウハウを中京銀と共有。2024年度にソリューション関連手数料39億円を目標に掲げる。既に中京銀では、相談件数が22年10月の経営統合と比べて1.5倍以上に増加しており、愛知銀へのトスアップを活用した成約案件が出始めている。
シナジーを最大限発揮するためには、行員の意識醸成やスキル向上が不可欠と判断。愛知銀は、…
【写真】研修では、愛知銀行員が中京銀行員に事業承継のノウハウを指導している(愛知銀行提供)
2023年7月28日号8面 西尾信金、“経験差”埋めるナビ導入、渉外の提案力を底上げ
【名古屋】西尾信用金庫(愛知県、石川清成理事長)は、2024年度初めまでに全店の渉外職員向けにナビゲーションシステムを導入する。渉外が持つタブレットに、法人先の業況などヒアリングに必要な質問が段階的に表示されるもの。担当者によって異なる経験やスキルの差を補完し高度化する。6月から一部支店で試行導入した。システム開発の狙いは、「業務のブラックボックス化」と「属人化」の改善だ。
顧客との交渉や提案手法は、経験やスキルにより異なり、成果も大きく変わる。また、…
2023年7月28日号16面 ネット証券、富裕層ビジネスに本腰、自前で専門部隊立ち上げ
マネックス、人員倍増へ
ネット証券は富裕層ビジネスに本腰を入れる。SBI証券は9月中にもウェルスマネジメント(WM)事業の開始へ準備を進め、マネックス証券は子会社の人員を倍増する。これまで独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)と呼ばれる金融商品仲介業者に証券プラットフォームを提供し富裕層にアプローチしていたが、自ら専門部署や子会社を通じて強化する動きが相次いでいる。
SBI証券は単独で提供できる体制を整える。7月にWMビジネス準備室を新設。富裕層向け営業の経験者を採用し、…
2023年7月28日号18面 金融労組・新年度幕開け、持続的賃上げへ正念場、女性やシニア活躍に課題
金融労組は、8~10月に上部団体が大会・総会を開催し、新たな組合年度の幕開けとなる。2023年春闘は大企業が起爆剤となって歴史的な賃上げラッシュとなった。24年春闘は持続的な賃上げへの正念場を迎え、組合の真価が問われている。
23年春闘では、メガバンクが30年ぶりの水準となる6~7%の賃上げに踏み切り、大手地方銀行でも2~3%のベースアップ(ベア)が相次いだ。ただ、組合側の要求を上回る「満額超回答」を得た先もあるなど、…
2023年7月28日号19面 ひろぎんHD・山陰合同銀行、自前の講師陣育成し金融教育提供
【広島】ひろぎんホールディングス(HD)と山陰合同銀行は、教育現場や取引先の従業員などに向けた金融教育に注力している。成年年齢の引き下げや政府の資産所得倍増プランなど金融リテラシーの重要性が高まっており、地域の担い手となる若年層の学びをサポートするのが狙い。それぞれ自前の講師陣を育成している。
ひろぎんHDは6月9日~7月28日の週1回(全8回)、広島修道大学国際コミュニティ学部で金融教育を実施。ライフデザインや金融トラブル、資産形成…
【写真】生徒にアドバイスする山陰合同銀行のバンカーズファイナンシャルパートナー(中央、7月3日、米子北斗高校)
2023年7月28日号20面 足利銀行日光ブロック、ソリューション、取引先本業支援で成果
2023年度上期・副業人材など4件
足利銀行日光ブロック(秋間由行ブロック統括支店長=行員41人うち渉外担当者12人。パートなどキャリアスタッフ21人)は、本業支援で成果をあげる。取引先の多くが抱える人手・人材不足の解消に副業人材の紹介など最適な解決策を提案。また、事務効率化を進めて捻出した時間で、コンサルティング業務を充実している。
営業エリアは人口減少が著しい。最近は人手・人材不足に関する本業支援の要望が多いという。秋間由行ブロック統括支店長は…
【写真】毎夕、渉外担当からヒアリングし重要案件はすぐに関係者を招集する(7月10日、足利銀行今市支店)