2023年8月25日号2面 実像 ステーブルコイン 実用段階に、地域・事業者と新経済圏創出
法定通貨を裏付けとして発行されるステーブルコインが6月、「電子決済手段」として定義され、国内での流通を解禁された。北国銀行は2023年度内にも発行を始める地域通貨に活用する。他の地域銀行やデジタルバンクも実証実験を行い、体制整備に加え、ビジネスモデルの検討を活発化させている。ブロックチェーン(分散台帳、BC)を活用した決済手段で実現する新たな価値に迫る。
■県内デジタル化の起爆剤
北国銀は4月27日、石川県珠洲市でBCを活用したデジタル地域通貨構想を明らかにした。行政が発行するポイント「珠洲トチポ」と…
【写真】珠洲市の事業を発表した会見で、北国銀の杖村修司頭取(左から2人目)は「10~30年後の重要な基盤を構築する」と意気込みを語った(4月27日、石川県地場産業振興センター)
2023年8月25日号4面 金利スワップ市場、清算額が過去最高、日銀政策修正の思惑で活況
金利スワップ市場の取引高が伸びている。店頭デリバティブ清算機関である日本証券クリアリング機構(JSCC)によると、過去最高を記録した2022年の円金利スワップ取引の清算額(1111兆円)を7カ月半で超えた。日本銀行の金融緩和策修正に対する市場の思惑が交錯し、年初から海外勢などの取引が活況だ。1~6月の清算額を単純に2倍すると1800兆円に達する勢い。企業によるヘッジニーズも出てくる見通しで、取引額が上振れする可能性もある。
日銀がイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)の柔軟化を発表した7月28日は…
2023年8月25日号5面 三井住友THD、新興向けにインパクト出資、投資収益率10%超めざす
三井住友トラスト・ホールディングス(THD)は、社会課題の解決と投資収益を両立する「インパクトエクイティ」を積み上げている。2021年11月から22年3月までに自己勘定で合計500億円を出資しており、30年度までに合計5千億規模のリスクマネーを供給する。専門家の科学的知見と企業との対話に基づく目利きから、社会実装前でも社会に大きなインパクトを与える新技術を持つベンチャー企業などを発掘し、投資の効率性を表す内部収益率(IRR)で10%超を目指す。
インパクトエクイティは企業への投資を通じて、ポジティブで測定可能な社会的・環境的インパクトを生み出すと同時に…
2023年8月25日号6面 大垣共立銀行の自治体コンサルチーム、地域課題を共創型で解決
収益目標2300万円視野
【名古屋】“共創型コンサルティング”で地域課題の解決を――。大垣共立銀行の自治体向けコンサルティングチームの動きが活発だ。自治体が抱える「人口減少」や「観光客の誘致力不足」といった課題に対して、プロモーションやブランディングの面からサポート。同チームが掲げる収益目標2300万円達成が視野に入ってきた。
コンサルチームは、2022年5月に各部門横断のメンバー10人で発足した。プロジェクト開始に伴い、…
【写真】養老町で取り組んだ体験型プログラムの構築で、アウトドア研修を実施した(大垣共立銀行提供)
2023年8月25日号7面 千葉興業銀行、仮想空間での集客を後押し、第1弾はアウトドア店構築
建設前住宅見学も見込む
千葉興業銀行は、インターネットの仮想現実(VR)空間への店舗や展示チャネル構築で、法人向けのソリューション提案を推進している。これまでに、アウトドア用品の仮想店を実現したほか、事業内容の紹介用途での工場の再現など、複数の案件が進行中だ。建設や購入前の見学ニーズも念頭に、住宅や街並みをVR空間に作り上げる――などのサービスも想定。不動産業者などへの提案も進めることにしている。
VR空間の活用は「新型コロナウイルス禍での対面抑制や人流の縮小も背景に、…
【写真】実店舗を再現したキャンパルジャパンの仮想空間店
2023年8月25日号9面 全信組連、新現役交流会の実績が好調、経営者ニーズ応じ紹介
全国信用協同組合連合会が実施する「しんくみ新現役交流会」のマッチング率が好調だ。信用組合取引先と関東経済産業局のデータベースに登録する大企業人材などを引き合わせるもので、直近に開催した3回の合計では参加事業者の7割以上がマッチングした。一方、関東圏外の企業からは、地元人材との面談機会を求める声も多く、年内にも開催地域を拡大する方針。
同交流会は2020年度に始まり、これまでに17信組が利用した。取引先企業は、…
【写真】3月には「しんくみ新現役交流会」の第1次面談を実施した(全国信用組合会館、全信組連提供)
2023年8月25日号10面 SMBC日興証券、新事業へプロジェクトで英知、アイデア応募は300人超す
SMBC日興証券は、新事業開発プロジェクト(PJ)「Nikko Ventures(ニッコー・ベンチャーズ)」が革新的なビジネス創出に取り組んでいる。社員が約半年かけて磨いたアイデアを近藤雄一郎社長ら役員が審査し、専門部署が事業化する。2019年の開始から300人以上が応募し、これまでに4件の事業を立ち上げた。9月からは第5期生の活動が始動。顧客ニーズの先取りへ英知を集める。
ニッコー・ベンチャーズは、新技術の研究や制度の活用から既存の証券会社になかった事業モデルを生み出すのが狙い。PJメンバーは毎年、…
【写真】社員向け説明会でベンチャープロジェクトの重要性を説く吉岡伸輔執行役員(7月19日、新丸の内ビルディング)
2023年8月25日号19面 伊万里信金、地元企業500先を紹介、CATV放送10年目
進行役は若手職員
【福岡】伊万里信用金庫(佐賀県、山口宏理事長)は、地元ケーブルテレビ(CATV)の伊万里ケーブルテレビジョンと共同製作し、取引先をPRする番組が、開始から10年目を迎えた。紹介した企業は延べ500先で放送回数は延べ約3600回となった。
番組名は「キラッと★しんきん」。15分間の情報番組で1カ月に約30回放送している。伊万里市や有田市などの視聴者に…
【写真】伊万里ケーブルテレビジョンの中村宏和氏(左奥)と打ち合わせする伊万里信金南支店主任(左手前)、業務部主任(右手前)と業務部係長(8月16日、伊万里ケーブルテレビジョン)
2023年8月25日号20面 南都銀行郡山支店、信頼関係、顧客知る活動を深化
増える相談・手応えつかむ
【大阪】南都銀行郡山支店兼矢田南出張所(尾崎健司支店長=行員36人うち渉外17人。パート12人)は、「お客さまを知る活動」を通じて信頼関係を深め取引拡充を進めている。SDGs(持続可能な開発目標)コンサルティングサービスは、2023年度上期に20件を契約。ヒアリングを通じ企業への理解も深まった。法人ソリューション手数料は、2022年度上・下期とも目標を達成した。
同店は旧六十八銀行の発祥地で地域に親しまれる。エリアには上場企業の関連先や地元大手などが立地する昭和工業団地…
【写真】自主勉強会を行う行員ら(8月16日、南都銀行郡山支店)