2023年10月27日号2面 日銀、金利上昇リスク総点検、更改期間差で利益“後ずれ”
日本銀行は、金利上昇局面を想定したリスク管理の強化を促している。10月20日に公表の金融システムレポートで、金融機関のバランスシート(BS)が抱える金利リスクを総点検。資産・負債の金利更改期間の違いによる収益への影響などを分析した。銀行などにとってイールドカーブ(利回り曲線)の上方シフトは「基本的にはプラスに働く」(金融機構局)が、金利の“上がり方”や預金利率の引き上げ度合いにより、地域金融機関で資金利益の悪化が長引く試算結果を示した。
レポートでは、大手行や地域金融機関の22年度末のBSを基に…
2023年10月27日号3面 金融庁、事業再生の加速を要請、第二会社方式など普及へ
金融庁は、地域金融機関に事業再生支援の加速を求めている。10月中旬にまとめた事例集を参照して中小企業向け事業再生ガイドライン(指針)を活用するよう促しており、第二会社方式での再生などを後押しする。特に、指針の活用実績がない金融機関に働きかけていく。
収益性がある事業を切り離して新たな法人に承継させる第二会社方式や…
2023年10月27日号4面 三菱UFJ銀行、為替リスクヘッジ対応強化、東海地区で取引量2割増
【名古屋】三菱UFJ銀行は、為替リスク関連の相談対応を強めている。事前にレートを確定させる為替予約取引や、特定の通貨をあらかじめ定めた期間に一定の価格で売買する通貨オプションの引き合いが増加。東海地区では2022年度の取扱件数・金額ともに21年度比で約2割増えるなど、輸出入を手がける企業の支援を積極展開している。
取り扱いで最も多いのが、為替予約取引。買掛金の決済がある企業があらかじめ銀行とレートを決めておけば、…
【写真】為替相場の動きを注視する大嶋氏(左、名古屋ビル)
2023年10月27日号7面 信組大会、“伴走型支援”へ全力、4年ぶり従来形式で開催
全国信用組合中央協会は10月20日、東京都内の経団連会館で「第59回全国信用組合大会」を開いた。業界の課題として、取引先に対するサポート強化や人的資本経営の実現、サイバーセキュリティー強化とマネロン・テロ資金供与対策を挙げて、取り組む意義を確認した。4年ぶりにコロナ禍前の形式で開催し、約350人が参加。懇親パーティーでは、全国の信組トップらが酒を酌み交わした。
全信中協の柳沢祥二会長(大東京信用組合会長)はあいさつで、…
【写真】あいさつする柳沢会長(10月20日、経団連会館)
2023年10月27日号8面 特集 躍動する副業パーソン、スキル生かす行員増加
【高松】全国の地域銀行で広がる副業・兼業制度。ニッキンの調べでは、3月末時点で全国の地域銀・グループ(G)のうち4割に当たる39行・Gが導入する。四国地区でも全8行が認めており、スキルや特技を生かして副業に挑む行員は増加中だ。自己実現はもちろん、地元への貢献や本業との相乗効果など、行内外に好影響を与える起爆剤となりつつある。副業パーソンの多様な活躍を追った。
■阿波銀行・桑村浩之さん、全国を転戦し徳島PR
平日は銀行員として取引先を回り、週末はラリードライバーとして全国を回るのが、阿波銀行蒲田支店の桑村(くわむら)浩之副長(55)だ。入行年の1991年から助手席に座る道の案内役「コ・ドライバー」として挑戦し…
【写真】徳島県内企業のステッカーが並ぶ競技車両を駆り、全国各地のラリー大会で徳島をPRしている桑村浩之・阿波銀行蒲田支店副長(7月29日、高知県大川村、本人提供)
2023年10月27日号16面 全労金、「65歳定年制」議論本格化、2024年夏までに合意めざす
全国労働金庫労働組合連合会(全労金、14単組、組合員9千人、深見正弘委員長=東海労金労組)と単組は2023(組合)年度に、「65歳定年制」導入に伴う人事・賃金制度の議論を本格化させる。経営側と協議を重ね、24年6月までに新制度の合意を目指す。早ければ25年4月に運用を開始する。
人事・賃金制度は、全国労働金庫協会が既に各労金に対し、改定版の実施要領を提示した。その要領をベースに労使協議する。
定年延長に伴い、…
2023年10月27日号10面 DXで克/勝つ みなと銀行、地域連携で課題解決めざす
学生のアイデア 具現化
地域銀行は、地元の少子高齢化や企業数減少への対応、脱炭素の推進など多くの課題を抱えている。兵庫県を主要な営業エリアとするみなと銀行は、県内の大学が持つ知見や学生の柔軟な発想に、デジタルトランスフォーメーション(DX)を組み合わせることで、地域課題の解決を目指している。同行の楡井義丈地域戦略部長に活動内容を聞いた。
――地域戦略部のミッションは。
本店を置く兵庫県内の地域課題に取り組み、地域の活性化を図ることだ。当社の強みは伸びしろのあるマーケットを持つことと…
【写真】楡井義丈・みなと銀行地域戦略部長
2023年10月27日号17面 メガ銀やSBIなど、デジタルウォレット提供、万博をキャッシュレス化
三菱UFJ銀行と三井住友銀行、りそな銀行、SBIホールディングス(HD)の金融大手4社は、11月に「2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)」のキャッシュレス化に向けたデジタルウォレットサービスを開始する。会場内のキャッシュレス決済手段を提供するほか、ポイントプログラムやNFT(非代替性トークン)の発行を通じて参加者の関心や機運を高める狙いがある。
4社は9月に万博におけるキャッシュレス化の運営事業者として「金融コンソーシアム」を組成。11月1日からは…
【写真】電子マネーやポイントサービスの愛称は約1400件の公募から決定(10月23日、虎ノ門ヒルズステーションタワー)
2023年10月27日号18面 七十七銀行塩釜・北浜支店、付加価値創出後押し
本部・グループ機能発揮で、ナノテラス活用促進
【仙台】七十七銀行塩釜支店兼北浜支店(高橋理支店長=行員28人うち融資・渉外担当17人。パート16人)は、取引先の課題解決と付加価値創出へ、本部やグループ機能を引き出した伴走支援を展開する。円安や材料費の高騰などの課題に合わせ、ナノテラスの活用や商談会の開催を提案。同行一体となって取引先との関わりを深め、地域活性化を目指す。
営業エリアは、漁業や水産加工業が盛んな塩釜市など宮城県沿岸部の2市3町。取引先は多岐にわたり、それぞれが円安や物価高騰を受けた価格転嫁などへ…
【写真】取引先のみなと塩釜魚市場で志賀直哉社長(中央)と津田武彦専務(右)と話す高橋理支店長(10月10日、宮城県塩釜市)