2023年3月3日号2面 実像 「事業成長担保」法制化へ(上)融資慣行 再考の契機に
融資の担保といえば土地や建物。そんな常識が変わるかもしれない。無形資産を含む事業全体の価値に担保権を設定できる「事業成長担保制度」が2、3年以内に創設される見通しとなった。政府・金融庁が狙うのは、有形資産に乏しいスタートアップなどへの資金供給の拡大だ。新たな融資慣行として定着し、日本経済をけん引するような企業の創出につなげることはできるだろうか。
■23年内にも法案提出
議論を仕掛けたのは金融庁だ。2020年から21年にかけて…
2023年3月3日号3面 植田・日銀総裁候補が所信、金融政策「物価基調で判断」
日本銀行の次期総裁候補の植田和男・共立女子大学教授(71)は2月24、27日、国会で所信表明し、与野党議員の質疑に応じた。副総裁候補の内田眞一・日銀理事(60)と氷見野良三・前金融庁長官(62)も2月24、28日、自身の考えなどを答弁した。
植田氏は24、27日、衆参の議院運営委員会で所信表明に臨み…
【写真】国会で所信表明する植田氏(2月24日、衆院議院運営委員会)
2023年3月3日号5面 みずほ銀行、「価値共創チーム」4月発足、企業の構造改革や新事業に投資
みずほ銀行は4月に「価値共創チーム」を立ち上げる。企業の事業構造変革や新事業への進出を支援する専門チームだ。みずほグループに加えて社外とも連携しながら投融資に取り組み、企業の挑戦とともに産業の活性化を進めて、日本経済の発展につなげる活動をスタートさせる。
■外部採用で体制整備へ
この価値共創チームは、大企業営業の企画と推進を担当するコーポレート・インスティテューショナル業務部に設置するほか、…
【写真】新たな産業を創る気概で取り組むコーポレート・インスティテューショナル業務部スタッフ(2月13日)
2023年3月3日号7面 ふくおかFG3行、ATMを地方税QR対応、非対面で事務作業削減
【福岡】ふくおかフィナンシャルグループ(FG)は、傘下の福岡銀行、十八親和銀行、熊本銀行で、10年ぶりにATMを全面的に更改し、3~9月末に順次新型ATMに置き換える。マルチリーダーを搭載し、QRコードに全国で初めて、4月からの地方税統一へ対応。利用者の利便性向上とともに、税公金収納において利用者を窓口から非対面チャネルに誘導することで、事務作業を大幅に削減する。
導入ATMは、2024年度発行の新紙幣に対応した日立製作所の「AKe‐Sx」で、…
【写真】納付書に印刷されたQRコードをマルチリーダーにかざして読み取り、キャッシュカードや現金などで納付する(提供)
2023年3月3日号8面 信金業界、企業型DCの共通スキーム創設、連合年金基金がまとめ役
信用金庫が低コストで簡単に企業型DC(確定拠出年金)を導入できる共通スキームがスタートする。全国信用金庫連合企業年金基金(連合年金基金)が母体となり、参加信金を随時募る形の枠組みを新たに整備する。3月中旬までに全国の信金に書面で周知し、申請の受け付けを始める。導入信金の職員向け説明会などを含めて約8カ月の準備期間が必要なため、第1号は最短で12月ごろの開始となる。
スキーム名は「しんきん連合DC」。連合年金基金が参加信金の代表となり、…
2023年3月3日号9面 西京信金、地域防災力の向上を支援、対策説明会350回・延べ2万人
関連融資70億円、定期1000億円
西京信用金庫(東京都、北村啓介理事長)は、「地域防災力の向上」を経営の柱と位置付け、災害に強いまちづくりに取り組む。2022年12月末までのおよそ9年で防災対策説明会は約350回・2万人に上り、防災関連融資の累計実行額は70億円、防災定期預金は累計1千億円台を突破した。「日頃から防災と減災の必要性を地域住民に伝えている」(総合企画部)結果だ。
きっかけは、11年3月の東日本大震災。「災害は地域の活力を根こそぎ奪うもの。大きな災害が起きれば地域と運営をともにする当金庫も一緒に倒れてしまう」(北村理事長)と考え、…
【写真】防災金融商品を提案する職員(右、本店営業部)
2023年3月3日号10面 ネット証券の投信積立、楽天は月1000億円突破、SBIはオリーブで拡大へ
ネット証券は投資信託の積み立てによる資金流入を増やしている。若年層のつみたてNISA(少額投資非課税制度)利用に加え、クレジットカード決済によるポイント付与が好調。つみたてNISA口座の半数以上のシェアを持つ楽天証券の投信積立設定金額は月額1千億円を突破。SBI証券はSMBCグループと連携を加速させ、顧客基盤のさらなる拡大を進める。
楽天証券の2022年12月末時点の投信積立設定金額は月額1003億円。設定人数は281万人で…
2023年3月3日号19面 北洋銀行、通帳削減通じ生物多様性守る、不発行分を原資に活動助成
支援累計、160先・8500万円超
【札幌】動植物の希少種保護や生息環境の回復など、北海道の生物多様性保全に取り組む有志に毎年度助成する北洋銀行の「ほっくー基金」。4月に予定の2023年度助成分からは、拠出原資を、スマート通帳(デジタル通帳)普及で削減できた紙の通帳の発行コスト相当額などに変更。「紙通帳なし」が活動を支える形とする。10年に創設の同基金による助成は、2023年度分も含め、累計約160先・8500万円超となる見通しだ。
「ほっくー」は、同行の熊のマスコット・キャラクター。助成先には動物園や学術・研究機関の一方…
【写真】2020年度助成先の一般社団法人「大雪山・山守隊」の活動(北洋銀行提供)
2023年3月3日号20面 北都銀行湯沢支店、指定金融機関、迅速な補助金支援へ先回り
議会審議にらみ準備と周知
【仙台】北都銀行湯沢支店(小西暁支店長=行員16人うち渉外7人。嘱託・パート7人)は、秋田県湯沢市の指定金融機関として、自治体や取引先企業の課題解決に加え、銀行にも利益を確保するウィンウィンの関係を目指す。補助金の採択支援やPFI(民間資金を活用した社会資本整備)案件の情報収集などへ重点的に取り組み、2022年度上期は業績表彰の一つ「地方創生活動」を受賞した。
小西暁支店長は、前任の営業推進部長兼地方創生室長の時に、地方創生活動の業績表彰を制度化した。自治体のキャッシュレス化や…
【写真】「支店長塾」では小西暁支店長(左から3人目)が講師となり、地域プロジェクトへの銀行の関わり方を説明(2月9日、北都銀行湯沢支店)