2023年1月13日号3面 金融庁、仕組み債販売追及を継続、全地域銀行に実態調査
「顧客本位」検証求める
金融庁は、「仕組み債問題」で地域銀行への追及を続けている。2022年12月に全行へ実態調査のアンケートを送付した。回答作業を通じて自行の販売が適切であるかを再検証させ、顧客本位の業務運営を徹底させる狙いがある。「その顧客に見合った販売なのか」という点を突くことで、外貨建て保険など別の金融商品で同様の事態が生じることも防ぐ構えだ。
仕組み債販売を巡っては、リスクの高いEB債(他社株転換可能債)などで苦情が多発したことを受け…
2023年1月13日号7面 特集 グローバルインフレの実相、危機回避も“見誤る”FRB
政策運営縛った「2%」の固執
新型コロナウイルス感染拡大が深刻化し、金融市場に緊張が走った2020年春からまもなく3年が経つ。リーマン・ショックを想起させる相場急変動のさなか、主要国の金融当局は危機回避に向けた対応策を相次ぎ発動して事態を鎮静化。一方、コロナ禍からの経済立て直しで講じられた米国などでの大規模緩和策は、歴史的なグローバルインフレを招き、FRB(米連邦準備制度理事会)では急ピッチな利上げを敢行。日本でも為替円安と相まって物価高局面に突入した。
■リーマン教訓生かす
「金融危機は防いだが、その後の景気回復局面での政策対応を誤った」――。コロナ禍後のFRBの行動について、こう評する市場関係者は少なくない。
世界経済の先行きに対する不透明感が急速に高まった20年3月。マーケットは大荒れだった。債券市場は…
【写真】コロナ禍は、基軸通貨を発行するFRBの世界的な存在感や影響力が功罪両面で発揮された(写真はFRB外観)
2023年1月13日号10・11面 特集 デジタルネイティブと向きあう、若者とのつながり構築
長年、金融機関が頭を悩ませてきた課題がある。若年層へのアプローチだ。足元では、コロナ禍で非対面チャネルが予想以上のスピードで普及。デジタルネイティブ世代も台頭しており、非対面チャネルの充実は不可欠な要素となりつつある。今後、対面営業だけに頼っていては若年層へのアプローチ自体が難しくなり、収益の源泉である顧客基盤が弱体化しかねない。そこで、デジタルバンクやメタバース(仮想空間)の現状、先進的な金融機関が取り組む顧客接点拡大策などを取材し、生き残りに向けたヒントを探った。
■非対面、アプリ機能拡充主流に
オンライン取引を好む若年層にどうアプローチするか。対面営業を主体として…
【写真】きらぼし銀行はメタバース空間でスタートアップ向けのピッチコンテストを開催。左下の写真は、イベントを運営する行員ら(KicSpaceHANEDA、2022年12月21日)
2023年1月13日号12面 特集 海外送金の新潮流、フィンテックと地銀が協業
速い・安い・サービス拡大
グローバルなビジネス活動で欠かせない海外送金。企業のサプライチェーンや外国人労働者の増加で重要性が増すなか、従来のスキームでは「手数料が高い」「着金まで日数を要する」といった利用者からの不満が後を絶たない。そこで金融界から注目されているのが、フィンテック企業や最新テクノロジーの活用だ。ユーザー目線に立った新しい送金のあり方に迫る。
■訪日外国人増に期待
コロナ禍で長引いたインバウンドの“冬”が明けようとしている。日本を含め世界各国で水際対策の緩和が進み…
【写真】ショッピングサイトの利用増も海外送金の伸長に寄与している
2023年1月13日号8面 特集 県内再編・塗り変わる地域銀行マップ(後編)競争から共創へ
同一県内の地域銀行の再編が相次いでいる。2022年には、9月に八十二銀行と長野銀行が、11月にふくおかフィナンシャルグループ(FG)と福岡中央銀行が、それぞれ再編の意思を固めた。八十二銀の松下正樹頭取が昨秋の会見で「これからは競争から共創」と語ったように、過去の常識は崩れ再編環境のパラダイムシフトが起こっている。本紙1月1日号の前編に続き、本号では23年以降に資本参加や合併を予定する4組の“いま”を現地リレーで紹介する。
■ふくおかFGと福岡中央銀行が経営統合(23年10月)、この組み合わせは「必然」
ふくおかFGと福岡中央銀行は、23年10月の経営統合を目指す。株式交換による統合で同行はふくおかFGの完全子会社になる。統合後は両者の強みを生かした事業展開を図るが、…
2023年1月13日号9面 特集 3メガグループCHROに聞く 人的資本経営のカギ
人への投資で中長期的な企業価値向上を目指す「人的資本経営」。2023年3月期から有価証券報告書で人的資本情報など非財務情報の開示が義務化されるなど、金融界も対応が迫られる。そのかじ取りに注目が集まるのは、人材戦略の策定と実行を主導するCHRO(最高人事責任者)だ。3メガバンクグループのCHROに人的資本経営の考え方や実践方法を聞いた。
【写真】(左から)三菱UFJフィナンシャル・グループ・佐々木照之 執行役専務グループCHRO、みずほフィナンシャルグループ・上ノ山信宏 取締役兼執行役グループCHRO、三井住友フィナンシャルグループ・夜久敏和 代表執行役副社長グループCHRO
2023年1月13日号16面 特集 大手証券 資産管理型ビジネス軌道へ、「CIO」が長期分散投資導く
政府が資産所得倍増に向けて旗を振るなか、資産形成・運用を促す担い手としての役割が増す証券業界。大手証券は顧客のゴールに基づく「資産管理型ビジネス」を軌道に乗せるべく、専門組織「チーフ・インベストメント・オフィス(CIO)」を通じたポートフォリオ・コンサルティングを強化している。顧客を長期分散投資へ導くことは、結果的に証券会社にとっても相場環境に左右されにくい安定した収益モデルの構築につながる。“運用のエンジン”とも例えられるCIOの実態を追った。
■運用の発想変える
CIOの主な役割は、リスク許容度に応じた資産運用のモデルとなるポートフォリオの…
【写真】大和証券のCIO's VIEW<投資見解資料>
2023年1月13日号18面 特集 【読者の意見】コロナ過が変えた店舗営業、昼休業5割が賛成
営業店の人員減で来店予約は主流に
コロナ禍で金融機関の店舗営業が変わりつつある。営業店の人員や来店客数の減少などにより、店舗運営のあり方を見直す動きが加速。顧客の利便性を担保しつつも、地域の実情に合わせた店舗運営が金融機関に求められている。本紙読者に、昼休業や来店予約制の導入の是非、オンライン面談の活用頻度について意見を聞いた。
■Q1.昼休業を恒常的に導入すべきか
「導入すべき」が過半数を占めた。目立ったのは、「人員減の影響もあるから、やむを得ない」(地方銀行40代)や…
【写真】新型コロナウイルス感染拡大の防止とサービスを維持するために昼休業を導入する金融機関が相次いだ
2023年1月13日号20面 特集 都銀4行の営業店最前線、顧客ニーズへ最適提案に尽力
大手行は、顧客のニーズや困り事に寄り添ったソリューションの提供に力を入れる。事業・資産承継やスタートアップへの出資・融資など専門性を要する場面では、専門人材やグループ会社と連携し対応する。情報共有の環境を整え、経験の差によるニーズの見落としや提案力の差などをカバー。独自の取り組みで営業店全体の提案力を向上させている。
■みずほ銀行大宮支店、困り事解決・不安解消へ、ソリューション営業展開
みずほ銀行大宮支店(藤川隆司支店長=行員84人うちスタッフ22人)は、リテール特化店として営業担当者やLPA(ライフプランアドバイザー)を中心に…
【写真】困り事を聞きだし解決策を提案する。豊富な知見が必要だ(2022年12月12日、みずほ銀行大宮支店)