2023年12月22日号1面 増える社保滞納差し押さえ 金融機関、支援難しく
- 法令制度政策
厚生年金などの社会保険料滞納により、差し押さえを受ける中小・零細事業者が増えている。実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資を受けていた事業者が、差し押さえに遭い倒産するケースも増加傾向にあり、金融機関の支援に難しさが漂う。廃業を含めた支援が必要との声も出始めた。
日本年金機構によると、2023年4月~9月末の社保滞納による差し押さえ執行事業所数は2万6265事業所。半年で、…
厚生年金などの社会保険料滞納により、差し押さえを受ける中小・零細事業者が増えている。実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資を受けていた事業者が、差し押さえに遭い倒産するケースも増加傾向にあり、金融機関の支援に難しさが漂う。廃業を含めた支援が必要との声も出始めた。
日本年金機構によると、2023年4月~9月末の社保滞納による差し押さえ執行事業所数は2万6265事業所。半年で、…
道内総生産11兆円押し上げ
【札幌】9月に北海道千歳市で工場を着工した、次世代半導体の国産化を目指す「ラピダス」(東京都)に、道内金融機関は熱い視線を送る。道内では前例のない、投資額が約5兆円にも及ぶ国家プロジェクトだ。食と観光が中心で製造分野が弱いとされてきた北海道にあって「産業構造を根本から変える可能性がある。地域経済にとっては千載一遇のチャンス」など歓迎の声が広がる。そこで道内金融機関にアンケートを実施(回答数は27機関)。道内経済に与える期待や不安、各金融機関の営業戦略などについて聞いた。
■動き出した巨大事業
「えい、えい、えーい」――。まだ暑さの残る9月、新千歳空港に隣接する工業団地で開かれたラピダスの工場建設の起工式。西村康稔経済産業大臣や…
【写真】ラピダスの半導体工場の完成模型を披露する(左から)ラピダスの東哲郎会長と小池淳義社長、北海道の鈴木直道知事、千歳市の横田隆一市長(9月1日、北海道千歳市)
政府は中小企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させるため、地域金融機関向けの補助金制度を創設する。デジタル化支援サービスの費用の一部を支給し、サービスの黒字化を後押しする。地域銀行や信用金庫を通じて、中小企業の生産性向上や業務効率化を促す狙いがある。
2024年から内閣府が「地域デジタル化支援促進事業」として始める。23年度補正予算で…
中小企業庁は事業者の人手不足解消に向け、所管する中小企業基盤整備機構を通じ地域金融機関との連携強化に乗り出す。企業が公的な人材確保支援策を一元的に活用できる環境を整え、地域銀行などと協力して普及に取り組む。中小機構地域本部の相談機能を強化するほか、専門家派遣や中小企業大学校の研修で企業の採用戦略の刷新を後押しする。中小機構は、内閣府が全国に設置しているプロフェッショナル人材拠点との間でも事業者を相互に誘導する仕組みを作る。
中小機構はオンラインで提供する教材を多様化させ…
【名古屋】大垣共立銀行は、事業承継とM&A(合併・買収)支援を強化している。相談件数は年々増え、M&Aの本部専担チームを5人体制に増員するなど取り組みを加速。名南M&Aと連携した成約案件は直近1年間で3件に上るなど、2023年度は収益額が3億円超に上る見込みだ。
後継者不在率62%と全国でも高水準の岐阜県。取引先の課題解決を進めるべく、営業店や本部でのリストアップで提案活動に注力する。22年度の相談件数はM&Aが343件(21年度比1.9倍)、事業承継は914件(同1.2倍)に大幅に増えるなど、…
筑波銀行は、法個人顧客の課題解決支援で「サステナブルファイナンス」のニーズ開拓に注力する。2022年度から3カ年の現中期経営計画の重点分野で、計画期間中の関連融資などの累計実行額は、23年度9月末までで993億円と、中計目標の920億円を期間半ばで突破。SDGs宣言の策定支援で取引先企業の経営課題を把握し、ESG(環境・社会・ガバナンス)関連融資などで手当てするサイクルが奏功している。
「SDGs(持続可能な開発目標)や脱炭素といった課題に未着手の中小企業は少なくない。持続可能な経営といった…
【写真】SDGs宣言策定支援の行員研修(12月11日、つくば本部、筑波銀行提供)
年末に“減少”可能性も
全国254信用金庫の預金残高が、2023年末にも前年同月比でマイナスに転じる可能性が出てきた。信金中央金庫の地域・中小企業研究所によると、11月末残高は162兆2847億円となり、前年同月比の増減率がゼロ%に低下した。足元では実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資の返済による法人預金減少の影響は限定的となっており、個人の定期性預金減少が主な要因とみられる。
個別信金の11月末預金残高をみると、254信金のうち約半数の126信金が前年同月比で減少。22年11月末時点では、…
グループ内で専門人財を育成
地方銀行界で先進的なデジタル戦略を推進する伊予銀行。取り組みを支えてきた基幹系システムを日立製作所が提供する勘定系パッケージ「OpenStage」に移行することを決め、2028年の稼働を目指す。同行のビジネスモデル「DHD(デジタル・ヒューマン・デジタル)モデル」を支える自営システムが大きな節目を迎えている。新システム導入の狙いや背景、デジタル人財の確保などについて稲田保実・上席執行役員システム部長(58)に聞いた。
■「バンキングハブ」で合理化
――OpenStageを選んだ理由は。
現行のシステムは、1990年に稼働したシステムがベースとなっており…
【写真】稲田保実・上席執行役員システム部長
【名古屋】愛知県信用保証協会(石原君雄理事長)の女性経営者支援チーム「アイリス」が、女性経営者の支援で存在感を発揮している。創業を考える女性の相談から保証審査、資金調達後のフォローアップまで一貫してサポート。経営全般や人的ネットワークづくりにも力を入れる。女性の保証利用が7千先に倍増した取り組みとは何か。
■ライフステージ伴走
愛知県は女性経営者の割合が6%程度と全国的にみても低い。アイリスは、こうした課題に取り組むため…
【写真】カフェの創業をテーマに交流会
横浜信用金庫根岸橋支店では、12月22日までに1トンの古着回収を目指す「リサイクルプロジェクト」活動を実施。滝頭小学校と協力しながら、児童にリサイクル軍手を配布する予定。活動の一環として同校で若手職員が出前授業を開催した。
活動の中心となるのは、渉外係2年目の…
【写真】リサイクル会社ナカノの工場を見学した(横浜信金提供)
情報提供で与信取引に
【福岡】肥後銀行菊陽支店(小車実史支店長=行員17人うち渉外7人。パート7人)は、2024年12月のTSMC(台湾積体電路製造)熊本工場稼働を契機とした融資案件や新規事業先の獲得に取り組んでいる。融資では、サプライチェーン進出による住宅ニーズに対応する民間事業者の宅地整備や県外企業の進出を支援。事業資金の新規開拓活動では11月末で年18先増と、事業融資先は200先を超えた。
営業エリア内では2021年10月のTSMC進出表明後、サプライチェーン進出に向けた工場用地取得や従業員向け宅地分譲が活発化。2023年4月着任の小車実史支店長は…
【写真】小車実史支店長(右)は、渉外担当者と支店独自で作成した菊陽支店周辺の地図を活用しながら情報共有している(11月29日)
【Nikkin 金融講座】 2023年度 下期確認テスト |
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解剖 新NISA 制度生かした提案(12) |
選ばれ続ける存在に |
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投信窓販優績者に聞く | 北日本銀行・林 敬子さん 断られて“気づき”も |
マンスリーマーケット [1月] | 世界的に政治イベントの多い2024年 大和証券 日米株チーフストラテジスト・坪井 裕豪氏 |
インタビュー (4面) 「ニッキンONLINE」に掲載 |
高瀬・都銀懇幹事(三菱UFJ銀行常務) 「運用立国」へ規制緩和を |
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インタビュー (6面) 「ニッキンONLINE」に掲載 |
金井・多摩信用金庫理事長 信金の強みは「人」 |
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