2021年12月10日号2面 実像 政治と金融(下)税制改正の攻防、視界に入る金融所得増税
国家運営の根幹である税制。各省庁の思惑が入り乱れるなか、自民党の税制調査会で翌年以降の上げ下げが決まっていく。与党税制改正大綱は12月10日にまとまり、金融庁は火災保険の異常準備金を非課税で積み立てられる制度の延長・拡充で成果を得られそうだ。ただ、金融所得税を算出する際の損益通算範囲拡大は、今回も見送り。2022年に予定される金融所得増税の議論でも、間違いなく難しい交渉を強いられる。
選挙受けて短期戦に
自民党では、政策を立案する政務調査会の各部会などが…
【写真】一部の業界団体は議論が佳境に入ると大勢で自民党本部を訪ね、要望実現を頼み込む(12月3日)
2021年12月10日号3面 インタビュー 正木・日銀金融機構局長 特別付利、OHR改善に寄与
上限設定はコロナオペ増が背景
3月に運用が始まった日本銀行の「地域金融強化のための特別当座預金制度(特別付利)」。OHR(経費率)改善や経営統合により、適用先は地域銀行や信用金庫・信用組合、農業協同組合など600を超える。同制度の運用責任者である正木一博・金融機構局長(54)に導入の目的や適用直後の上限設定の経緯などを聞いた。
――特別付利を導入した狙いは。
「低金利環境の長期化に加え、人口減少など構造要因により国内預貸業務の収益は低下を続けている。特に…
2021年12月10日号5面 MUFG、脱炭素支援で協業、2社と可視化など推進
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、企業のサステナビリティ対応をサポートするため、脱炭素支援で2社と協業した。推進分野を明確化し、温室効果ガス(GHG)排出量算定の可視化ソリューションを提供していく。気候変動問題への対応が急務となり、企業はGHG排出量の算定など従来にない対応に迫られているのを支援する。
三菱UFJ銀行は、企業活動におけるGHG排出量の算定・可視化サービスを提供する…
2021年12月10日号9面 千葉信金、取引先の課題解決に尽力
千葉信用金庫(千葉市、宮澤英男理事長)は取引先の経営課題解決に尽力する。冷凍餃子の自動販売機を展開したいとの課題を受け、鉄道会社と折衝し、駅への設置を実現。また、就労支援を目的に知的障がい者が廃電線から銅を回収するNPO法人の収益課題をサポートするなど取引先のために汗を流す。
■「餃子自販機を駅へ」実現
全国1千店超に餃子を卸す商和(千葉市)は、コロナ禍で取引先の売り上げが…
【写真】冷凍餃子の自販機の前で打ち合わせする高橋社長と島田氏(右、千葉市花見川区)
2021年12月10日号13面 JCV、顔認証決済を推進、ファストフード店で実験
ソフトバンク子会社で人工知能(AI)サービス開発の日本コンピュータビジョン(JCV)は、顔認証を用いた決済手段を推進する。ファストフードチェーンのファーストキッチンなどと共同で、2020年12月1日~2022年2月28日に、顔認証決済の実証実験をしている。
顔認証決済は、検出したユーザーの顔と登録済み顔データを照合し、本人確認して決済する。カードやスマートフォンなどの物理デバイスに頼らない決済方法として、セキュリティーの向上や業務効率化…
【写真】顔認証決済のデモンストレーション(左上は端末上部のカメラを拡大したもの、12月1日、アンダーズ東京)
2021年12月10日号16面 特集 2021年度上期の第3分野・損保窓販実績、「医療」が連続増加
「がん」は苦戦
地域金融機関の2021年度上期「第3分野(医療・がん保険)・損保窓販実績」(回答ベース)がまとまった。地方銀行62行、第二地方銀行37行、2021年7月末預金残高5千億円以上の大手81信用金庫を対象に調査した。医療保険の販売件数は2020年度下期比1.5%増だったが、がん保険は同27.1%の減少となった。(詳細は「ニッキンレポート」11月15日号に掲載)
■医療保険、販売件数2期連続増加
医療保険の販売件数は2020年度下期比1.5%(594件)増の3万9704件。前年度下期に続き…
2021年12月10日号17面 大手生保4社、ベンチャーと協業拡大、健康増進サービス開発へ
投資の動き 相次ぐ
大手生命保険4社は、ベンチャー企業やスタートアップ企業(SU)との協業を広げている。投資や業務提携を通じて、健康増進に資するサービスや営業職員の教育ツールなどを開発。また、収益面での期待や顧客の利便性向上につながるサービスの創出などを背景に、投資の動きが加速している。
日本生命保険は2020年、イノベーション開発への投資財源100億円を…
2021年12月10日号19面 津山信金、津山のビールを全国へ、「稼ぐ地方創生」めざす
【広島】津山信用金庫(岡山県、松岡裕司理事長)は、地域商社「曲辰(かねたつ)」(津山市)と協力して津山市産大麦を使ったクラフトビールの販路拡大に挑戦する。地域事業者と都会の消費者を信金の全国ネットワークを結び「稼ぐ地方創生」を実現する。
クラフトビール「鶴」の全国販売を目指す。地理的に近く市場の大きい大阪で…
【写真】津山発のビールをアピールする松岡裕司理事長(中央)ら関係者(11月30日、津山信用金庫本店4階会議室)
2021年12月10日号20面 ワンチーム 課題解決、静岡銀行吉田支店、“夢の実現”を支援
チーム結成し役割分担
【静岡】静岡銀行吉田支店(内藤義晴支店長=行員12人うち渉外6人。ビジネススタッフ9人)は、同行グループ一体で顧客の課題解決に取り組み、「経営者の夢の実現」に向けた最適なソリューションメニューを提供する。店内で展開する「全員参加型営業」では、窓口担当のトスアップで実績を重ね、若手行員の育成でも成果をあげる。
内藤義晴支店長は2018年10月に着任。行動基準に「地域に感謝、お客さまに感謝、支店の仲間に感謝」を掲げる。2020年9月、内藤義晴支店長は…
【写真】現在建設中で2022年5月に竣工予定の新工場内についてエムティー物産の森英晴代表取締役(右)から説明を受ける内藤義晴支店長(左から2人目)と中部カンパニー、静銀経営コンサルの担当者(11月10日、エムティー物産)