2021年8月6日号3面 金融界 「ゼロゼロ」出口に挑む(下)危機克服へ問われる力量
2020年度に全国の信用保証協会が保証を付与した融資の件数は前年度比約3倍の194万件、金額は同約4倍の35兆円。実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資で膨張した貸付債権と、どう向き合うか。危機克服に向け、金融機関の力量が問われる。
■懸念されるモラルの崩壊
「逃げられた」――。中国地区の地域銀行支店長は唇をかんだ。広島市最大の歓楽街、流川・薬研堀。複数店を営むゼロゼロ融資先の飲食業者が廃業し、連絡が取れなくなったのだ。
「緊急の要請」に応え、プロパーで1200万円を追加融資した矢先だった。のちに…
【写真】地域銀行の融資先飲食店が逃げた広島市の歓楽街。コロナ禍で営業継続を断念した店は多い(8月2日、流川通り)
2021年8月6日号4面 MUFG、オープン変革へ出資、5年間に40社1200億円
協業で10超の新事業
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)はオープンイノベーションの取り組みで新事業を創出している。戦略ファンドによる出資や新興企業育成の枠組みを構築し、過去5年で40社超・1200億円を出資。協業により10以上のサービスを生み出してきた。
スタートアップ企業支援の枠組みは、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンドによる出資と、…
2021年8月6日号7面 地域銀行、取引先のSDGs支援広がる、「宣言」策定後押し
地域銀行が、地元企業に対してSDGs(持続可能な開発目標)経営の支援を強化している。すでに地域銀の約8割がSDGsの方針を打ち出しているが、その取り組みを行内だけでなく地域に広げる流れが加速。企業にとっては事業拡大や人材確保につながることから、各行はソリューション提供の一環として展開する。
SDGsの取り組みで先行する大手損保と提携してサービスを始める…
2021年8月6日号8面 新連載・連携と絆(1)、よい仕事おこしネットワーク、今こそ生きる連携の力
信用金庫法70周年を迎えた今年。コロナ禍の中小企業支援に挑む信金界の「連携と絆」を6回連載する。
◇
“よい仕事おこし”の始まりは、東日本大震災まで遡(さかのぼ)る。城南信用金庫に東北出身の職員が多く、…
【写真】2020年のフェアは全国のコメで作った日本酒「絆舞」の鏡割りでスタート(2020年11月5日、羽田イノベーションシティ)
2021年8月6日号9面 信組、組合員数400万人へ、10年間で21万人増加
全国の信用組合の組合員数が400万人の大台に迫っている。全国信用協同組合連合会の集計によると、2021年3月末で398万2904人となり、10年間で21万人(5.6%)増加した。直近3年間でも年5千~1万7千人増加しており、早ければ21年度中にも400万人に到達する可能性がある。
信組は、相互扶助の理念に基づき、組合員が預金し合い、必要な時に融資を…
2021年8月6日号18面 新連載・キャリアを描く(1)本部の仕事、トラスト・ガレージ 田中聡CEO
本紙では「キャリアを描く 本部の仕事」を連載します。若手社員が本部の仕事を身近に感じキャリアを描き、金融機関の将来についてより自分事に考えてもらうきっかけになるように本号から8人の行職員を紹介します。
◇
田中聡氏(40)は、三井住友トラスト・ホールディングス(THD)が4月に設立したデジタル戦略子会社「トラスト・ガレージ」の…
【写真】「興味がない業務でも将来必ず役に立つ。出会った仕事や人を大切にしてほしい」と語る田中CEO
2021年8月6日号17面 主要証券10社の2021年4~6月期決算、7社が増益・黒字転換
収益の多様化が貢献
インターネット証券会社を含む主要証券10社の2021年4~6月期決算は、純利益ベースで7社が増益・黒字転換となった。海外株式市場に比べ伸び悩んだ国内の相場環境を背景に、株式委託手数料による増収が期待できないなか収益源の多様化が貢献。2021年3月に発生した米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメント関連とみられる損失が響き、野村ホールディングスは減収減益、三菱UFJ証券ホールディングスは赤字となった。
野村ホールディングスは1~3月期に続き米国顧客との取引による654億円の追加損失を計上し…
2021年8月6日号19面 金融界、住宅ローンをLGBT対応に、沖縄県労金は公正証書不要
「LGBT(性的少数者)を理由に利用できない金融商品があるのは非常に問題だ」――。こうしたLGBT当事者の声や社会的要請に対応し、銀行や協同組織金融機関で、法的婚姻関係のない同性パートナーが住宅ローンを利用できるように商品改定する動きが相次いでいる。
連帯債務者や年収合算者における配偶者の定義に同性パートナーを加え、住宅ローンの申し込みを可能にするもの。金融商品の視点から…
2021年8月6日号20面 ワンチーム SDGs、愛知銀行春日井支店、太陽光パネル設置支援
独自の評価サービス提案
【名古屋】愛知銀行春日井支店(長谷川貴之支店長=行員16人うち女性6人。契約職員2人、パート4人)は、コロナ禍の資金繰り支援を機に製造業を除く全業種の新規取引先数が増加。本業支援の重要性が高まるなか、取引先へのソリューション営業を強化し、SDGs(持続可能な開発目標)を切り口に太陽光発電事業への参入や食品業者のマッチングにつなげた。
主要営業エリアは春日井市の中東部。市内の産業構成比率は製造業が約12%と低い一方、第3次産業の卸・小売業が高い。
コロナ禍の悪影響の…
【写真】東興青果の吉田彰社長(左)と情報交換する長谷川貴之支店長(中央)と浅井敬介主任(7月13日、東興青果)