2021年10月22日号2面 実像 変わる貸倒引当金―「相対的真実」の探求―(上)
迫る「コロナ後」「欧米流」
金融機関会計の中核をなす「貸倒引当金」。その見積もり方法が大きく変わろうとしている。「金融検査マニュアル」廃止から2年近く経ついま、コロナ後も見据えて検討されるのが「フォワードルッキング(将来予測)」の視点。唯一の正解がない会計実務において、より実態に迫る手法の探求が始まっている。
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「先行事例を見て自行でも適用できるか知りたいようだ」「引き当て不足に問題意識がある先が増えている」「コロナを境に相談内容が変わった」「何らかの将来見通しを反映させる検討先は多い」――。貸倒引当金を巡り…
2021年10月22日号3面 日銀、外貨資金繰りを検証、「決済性口座」の重要度指摘
“流出しにくい”預金増へ
日本銀行は、邦銀の外貨資金繰りに対する視線を強めている。メガバンクなどは海外ビジネスを積極化するなか、資金調達基盤の拡充を進めるが、金融市場に緊張が走った2020年春の「コロナ相場」の“検証”では、非日系企業が邦銀から引き出した資金を米銀などメイン行に積み上げる姿も浮き彫りになった。「決済性口座」の獲得といった取り組みの必要性を指摘する。
大手行は海外投融資を拡大する一方、顧客性預金や社債による「安定性調達」資金の残高を伸ばし…
2021年10月22日号5面 大手行の2021年度下期部店長会議、情勢変化に素早く対応
ビジネス機会探る
大手行は、2021年度下期部店長会議を開催した。上期に続きDX(デジタルトランスフォーメーション)やESG(環境・社会・ガバナンス)など社会課題に対応し、「アフターコロナ」を見据えた経営方針を伝えた。
■みずほFG、建設的な対話重視
10月8日にオンラインで開催した。坂井辰史・みずほフィナンシャルグループ(FG)社長は、内外の状況変化を踏まえ、…
2021年10月22日号6面 インタビュー 杖村・北国FHD社長、新事業収益の上方修正も視野
【金沢】10月1日に北国フィナンシャルホールディングス(FHD)が発足した。傘下に北国銀行やコンサルティング会社、投資専門会社などを置き、「次世代版 地域総合会社」を目指す。社長に就任した杖村修司・北国銀頭取(60)にその狙いやコンサル事業の展望などを聞いた。
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――持ち株会社体制移行の狙いは。
「預金、融資、決済で収益は上がらなくなったというより、それ自体の…
【写真】杖村修司・北国FHD社長
2021年10月22日号7面 地域銀行、融資伸び鈍化、第二地銀17カ月ぶり減少
地域銀行は、足元で融資残高の伸び率が鈍化してきた。日銀の「貸出・預金動向速報」によると、2020年度は各月の貸出平均残高が地方銀行で前年同月比4~5%増、第二地方銀行では同6~7%増で推移していた。だが、21年度に入り低下。9月の貸出金平残の伸び率は、地銀が同2.3%増、第二地銀は同0.2%減と1年5カ月ぶりのマイナスとなった。
3月末に新型コロナウイルス対策の民間版の実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)が…
2021年10月22日号8面 信金・信組・JA、未利用口座手数料に温度差、信金で過半数・信組は1割
JA、全国一斉導入
協同組織金融機関による「未利用口座管理手数料」の導入状況で、業態間の温度差が出ている。信用金庫は約130信金が導入(予定含む)し、全254信金の過半数となった。一方、信用組合の導入は17信組程度にとどまり、全145信組の約1割。JAバンクグループは、10月から全国一斉に導入した。
未利用口座管理手数料は、残高1万円未満などの小口の預金口座を対象に、…
2021年10月22日号13面 AIRPOST、金融諸手続き一括で、FATF対応も展開
金融60社が加入検討
住所変更や口座振替などの一括手続きに加えて、地方公共団体のスマートシティ計画にも柱となりうるとして共通手続きプラットフォーム「AIRPOST(エアポスト)」の評価が高まっている。今冬には、FATF(金融活動作業部会)の求める継続的顧客管理(CDD)につなげるサービスも展開する。スマートフォンの「プラスメッセージ」が“起点”となるサービスで、トッパン・フォームズ、携帯電話大手3社、大手金融機関などが賛同して開発した。
「口座振替の申し込み」は、2020年度までに三菱UFJ銀行、武蔵野銀行が開始。2021年度には4月に…
2021年10月22日号19面 損保協、高校生に損保教育普及、能動的学習用の教材作成
日本損害保険協会は、高校生を対象とした損保教育の普及に取り組んでいる。生徒がグループディスカッションやディベートなどで能動的に学ぶ「アクティブラーニング」に対応した冊子や動画などの教材を作成。教師が授業で民間保険を取り上げやすいように工夫を凝らした。
同協会の第9次中期基本計画(2021~2023年度)では、重点課題として…
【写真】損保協が作成した教材は、生徒たちが損害保険の基本について能動的に学べる(10月12日、損保会館)
2021年10月22日号20面 ワンチーム 新事業支援、島根銀行倉吉支店、新規参入に二人三脚
土産菓子メーカーがパン製造
【広島】島根銀行倉吉支店(小林崇支店長=行員6人うち渉外1人)は、コロナ禍に苦しむ企業の新事業支援に注力している。売り上げが激減した土産用菓子メーカーに寄り添い、パン製造への新規参入を後押し。このほか、豊富なマッチングメニューを生かし、製造業の外国人技師採用に貢献するなどの成果をあげている。
「店内4人の事務対応が完璧なので安心して出かけられる」と話す小林崇支店長。入行7年目の渉外係とともに…
【写真】製菓会社社長(左)から製造工程を聞く小林崇支店長(10月5日、鳥取県琴浦町)