2021年12月17日号2面 実像 地域金融の運用戦略(上)~高度化を模索~
国債「バイ&ホールド」の先へ
超低金利環境が続くなか、国債頼みだった地域金融機関が有価証券運用の見直しを急いでいる。高利回りの国債償還に加え、足元ではコロナ禍による預金増で預貸率の低下に拍車がかかっているためだ。リターンの確保に向けて、いかに運用戦略を高度化するか。模索する地域金融機関の動向を探った。
■減少する保有国債
地域金融機関が保有する有価証券残高の構成割合は近年、大きく変化している。地域銀行全体の同残高に占める国債の割合は…
【写真】不透明な市場環境のなかで運用の高度化が求められる(東京証券取引所アローズ)
2021年12月17日号4面 TSUBASA10行、手続き電子化推進、eKYCサービス共同導入
広域連携「TSUBASAアライアンス」に参加する千葉銀行など地域銀行10行は、手続きのオンライン化を進める。電子化の基礎となるeKYC(電子本人確認)サービスを2022年以降、共同で導入する。連携のフィンテック戦略を担う共同出資会社のT&Iイノベーションセンターが、生体認証プラットフォームのLiquid(リキッド)と業務提携を結んだ。
参加行は今後、T&Iと契約を締結して…
2021年12月17日号7面 地域銀行、日本公庫と協調深化、融資後の「課題解決」重点
地域銀行と日本政策金融公庫との連携は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた事業者への融資から「課題解決」支援へと焦点が移りつつある。最近は融資後に大学や専門家の紹介、事業計画の策定サポートなどに乗り出している。コロナ後を見据えて、融資商品の内容を拡充する動きも出てきた。
七十七銀行は11月、日本公庫に加え中小企業基盤整備機構、東北大学との4者で…
2021年12月17日号9面 鹿児島相互信金、アジアに地域の魅力発信、情報プラットフォーム創設
外国人労働者確保めざす
【鹿児島】鹿児島相互信用金庫(鹿児島県、永倉悦雄理事長)は鹿児島市と連携し、海外へ地元の魅力を伝える情報プラットフォームの創設を目指す。ウェブサイトを通じて県内に住む技能実習生などに呼びかけ、アジアなどに発信する。生産年齢人口が減少するなか、事業者にとって重要な外国人労働者の確保につなげたい考えだ。
2022年1月末まで専用サイトを開設し、鹿児島県で働くベトナム人などに…
2021年12月17日号10面 大手証券、リモート相談に特化、顧客接点を拡充
専門組織で成果
大手証券は、営業店で顧客接点を持ちにくい顧客に対して、リモート相談に特化した専門組織を通じた資産運用相談で、成果が出てきている。
野村証券は、コンタクトセンターを戦略的な営業拠点と位置づけ、…
【写真】野村証券は顧客接点を拡充するためコンタクトセンターを強化(写真は東京センター)
2021年12月17日号13面 CRD協会、企業診断ツール提供、粉飾決算疑いに警告も
中小企業の財務データを集積・提供するCRD協会は、早ければ12月下旬にも、会員金融機関向けに中小企業経営診断ツールの新版の提供を始める。これまで独立運用していたスコアリングモデルによる信用力評価機能と中小企業経営診断機能を統合し、重複業務を一本化。粉飾決算の可能性を警告する「決算データ異常値判定機能」も新たに追加したことで、業務の効率化・高度化が図れる。
信用力評価機能は、企業の信用力を100点満点の「評点」または「デフォルト確率」で算出するもので…
2021年12月17日号16面 特集 2021年度上期生保窓販実績、個人年金が3割超増加
地域金融機関の2021年度上期「生命保険窓販実績」(回答ベース)がまとまった。一時払い終身保険の販売件数は前年度下期比13.2%減少と振るわなかった。一方、一時払い定額個人年金保険の販売件数は同32.7%増となり、18年度上期以来の増加に転じた。地方銀行62行、第二地方銀行37行、21年7月末で預金残高5千億円以上の大手信用金庫81金庫を対象に調査した。(詳細は「ニッキンレポート」11月15日号から順次掲載)
■一時払い終身、1万8088件の減少
一時払い終身保険の販売件数(3業態合計)は11万8745件で、前年度下期比1万8088件減少した。地銀は…
2021年12月17日号19面 金融界、静かな店舗改修に注目、工期短縮・コスト削減
店舗の改修工事を静かに。金融界は騒音や振動が少なく営業時間中でも工事ができるサイレントシステム工法に注目している。城南信用金庫が大井支店の改修に採用し、東京きらぼしフィナンシャルグループ(FG)は同工法を開発した施工会社の取り組みを支援する。
金融機関店舗の改修は週末に作業し長期化する。同工法では、営業を妨げる騒音や振動がほぼ無くなることで…
【写真】丸高工業の高木一昌社長(右)から騒音や振動のない工具の説明を受けるきらぼしコンサルティングの強瀬理一社長(左から2人目)
2021年12月17日号20面 ワンチーム 事業承継支援、宮崎銀行佐土原支店、持続的な成長へ奔走
本音に迫りスキーム構築
【鹿児島】宮崎銀行佐土原支店(長友正人支店長=行員17人うち渉外担当6人。パート5人)は事業者に寄り添い、持続可能な成長に欠かせない事業承継を支援する。経営トップや後継者の本音に迫り、本部の事業承継・M&A支援室と連携しながら最適なスキームを組み立てるのが持ち味だ。承継後の経営環境にも気を配り、成長を後押しする。
2021年6月、主要取引先の「相馬工業」の経営トップに井野達也常務が就いた。リーマンショック後の苦境から再建した立役者の一人で…
【写真】相馬工業の井野代表取締役(左)と工場設備について意見交換する(同2人目から)長友正人支店長、佐藤克哉副長、事業承継・M&A支援室の甲斐信室長(11月15日、相馬工業)